推したくなる魅力沢山 新型 スズキ・スイフトへ英国試乗 価格の割に楽しい走り

公開 : 2025.04.12 19:05

広々車内に馴染みある操作系のレイアウト

インテリアは、軽さを重視した影響か、傷の付きやすそうなプラスティック製部品が目立つ。それでも、流れるような造形に明るめの配色で、複層に重なったダッシュボードは印象が良い。ドアの内張り上部は、しっかりソフト加工されてもいる。

独立したエアコンの操作スイッチも、マット仕上げで好感触。耐久性も高そうだ。

スズキ・スイフト 1.2ウルトラ(英国仕様)
スズキスイフト 1.2ウルトラ(英国仕様)

ヘッドライトなど灯火類は、ステアリングコラム左側のレバーで操作。ワイパーは右側のレバーでと、操作系のレイアウトも馴染みのあるもの。サイドブレーキのレバーは、最近では珍しくなった。

タッチモニターのグラフィックは、ポロほど高解像度ではないものの、充分に見やすい。運転中に頻繁に触れる必要性は低く、ソフトウエアは安定して稼働し、スマホのブルートゥース接続が途切れることもなかった。

車線維持支援や制限速度支援など、運転支援システムも備わる。それぞれ、不要ならダッシュボードやステアリングホイール上のボタンと、トリップコンピューターのノブでオフにできる。少々手間ではあるが。

車内空間は、前席・後席ともに広々。身長が180cmある大人でも、前後に2名づつ座ることができる。定員は5名だ。フロントガラスが前方へ位置し、ドライバーからは遠い。

荷室は265L。このクラスでは小さい方だが、背もたれを倒せば980Lへ拡大できる。フロア下へ積めるスペアタイヤは、オプションとなる。

殆どの場面で不足ない加速 機敏で意欲的な旋回

公道へ出てみると、パワーは控え目だが、電圧12Vのスターター・ジェネレーター(ISG)が効果的に働き、殆どの場面で不足ない加速を披露。最高出力を得られる、5700rpmまで回す場面は限られるはず。

アクセルレスポンスが好ましく、パワーデリバリーはリニア。高速道路の速度域では殆どノイズが聞こえなくなり、追い越しを躊躇しないパワーを召喚できる。ただし、高負荷時はかなり質感が荒々しい。アイドリング時も、僅かな音振が届く。

スズキ・スイフト 1.2ウルトラ(英国仕様)
スズキ・スイフト 1.2ウルトラ(英国仕様)

5速MTのシフトレバーは、適度な重みづけながら感触が曖昧で、ストロークは長め。クラッチは軽く、ミートポイントを掴みにくい。それでも、英国編集部はCVTより5速MTを推したい。

ブレーキペダルは感触がスポンジー。制動力の発生は漸進的ではないものの、頼もしいほど良く利く。

カーブへ飛び込んでみると、ボディロールはポロ並みに抑えられているのがわかる。ステアリングの反応も、今はなきフィエスタ級まで磨かれた。機敏で意欲的に旋回する振る舞いが、気持ちイイ。

ステアリングは適度なレシオで、重み付けも良好。リニアでポジティブな印象を伴う。市街地では軽快に、高速道路では安定して運転できる。

軽い車重が貢献し、乗り心地はしなやかだが、落ち着きは足りないだろう。グリップ力は充分に高く、高速道路でのロードノイズや風切り音は、価格の高いポロと同等。印象的な静かさ、ともいえる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 執筆

    ジョナサン・ブライス

    Jonathan Bryce

    役職:ソーシャルメディア・エグゼクティブ
    AUTOCARのSNS担当として、X、YouTubeショート、インスタグラムなどの運営を任されている。以前は新聞紙や雑誌に寄稿し、クルマへの熱い思いを書き綴っていた。現在も新車レビューの執筆を行っている。得意分野はEVや中古車のほか、『E』で始まるBMWなど。これまで運転した中で最高のクルマは、フォルクスワーゲンUp! GTI。 『鼻ぺちゃ』で間抜けなクルマだったが、家族の愛犬もそうだった。愛さずにはいられないだろう。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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