【ど真ん中で戦う6代目】スバル・フォレスターがフルモデルチェンジ!サイズはキープも商品力大幅アップ

公開 : 2025.04.03 10:00

スバルは6代目スバル・フォレスターを日本でも発売開始しました。ボディサイズは先代とほぼ同じながら、パワートレインはターボに加えストロングハイブリッドを搭載しています。その詳細と第一印象を内田俊一がレポートします。

ラインナップの中で正統派SUVと位置づけ

スバルは6代目『スバル・フォレスター』を日本でもデビューさせた。ボディサイズは先代とほぼ同じながらも、パワートレインはターボに加え、クロストレックと同じストロングハイブリッドを搭載。その詳細と、サーキット内ではあるが試乗することができたのでその印象を記そう。

スバルのグローバル戦略車でもあるフォレスターは、スバルのラインナップの中で正統派SUVと位置づけられている。「競争の激しいカテゴリーの中で、ど真ん中で戦っていかないといけない車種です」と話すのは、スバル商品事業本部プロジェクトゼネラルマネージャーの只木克郎さんだ。

フルモデルチェンジで6代目へと進化したスバル・フォレスター。
フルモデルチェンジで6代目へと進化したスバル・フォレスター。    内藤敬仁

そこで今回のモデルチェンジでは、デザインを大きなポイントとして開発された。その理由は、「(5代目のフルモデルチェンジでは)あまり代り映えがしないという意見が多かったのです。特に新しいお客様を獲得しようと思うと、外観の魅力をもっと引き上げていかないと苦しいことがわかりました」という。

ボディサイズはほぼ先代のまま

一方で変えてはいけないフォレスターならではの魅力もある。それはボディサイズだ。「フォレスターはこのカテゴリーのクルマにとして少しコンパクトで取り扱いがしやすい一方、室内や荷室が広くすごく使い勝手が良いと認識されていますので、新型も諸元はほとんど変えませんでした」と話す。

新型は全長4655mm、全幅1830mm、全高1730mmとなり、全長と全高が15mmずつ拡大されたほかは、ホイールベースの2670mmも含めて先代と同サイズ。拡大は前述のデザインのためだった。

実はボディサイズ拡大の話もあった。「フォレスターの販売台数をみると北米が中心なので、もっと大きくしてはどうかという発想もありました」と只木さん。

しかし、「大きくしないといけない場合は、お客様が手狭に感じたり、自分にとっては小さすぎると感じたりした場合です。そのニーズには応えなければいけませんが、フォレスターにそういう意見はありませんので、現在のサイズがベストだと判断しました」とのことだった。

デザインはチャレンジ

6代目フォレスターのデザイン開発は、スバルとしてチャレンジだった。

これまでは、「空力や視界、安全性能等の技術要件を数値化して寸法に落とし込み、その制約の中でデザイナーが新しくデザインを生み出していました」と只木さん。しかしこの要件は今も昔もあまり変わらないことから、「この制約の中で新しいものを生み出すにも限界があるので、似たようなクルマができかねないというリスクがありました」と述べる。

6代目では表現したいデザインを先に作り、そこから技術的な背反する要素を解決していったという。
6代目では表現したいデザインを先に作り、そこから技術的な背反する要素を解決していったという。    内藤敬仁

そこで今回は、「思い切ってデザインからスタートしました。表現したいデザインを作ったうえで、技術的な背反する要素を解決していったのです」とし、「これまで以上に大きくジャンプアップできたんじゃないか」と語った。

スバルデザイン部でインプレッサ/クロストレック/フォレスター/BRZの開発主査の源田哲朗さんは、先代フォレスターについて、「ウェッジシェイプとキャラクターラインで塊感を表現していました。しかし今回はあえてロアのボディに骨をドーンと通して、そのしっかりとした厚みのあるボディと、キャビンという分けた感じでエクステリアを構成しました」と説明。

人間に例えるとしっかりとした背骨を通してそこに肉付けをしていったイメージだ。そうすることでドア断面も、「大きな張りを持たせました」。

寸法以上の力強さ

もうひとつ、影面も有効に使った。これまではライトキャッチといって光が当たる面を強調してきたが、今回は逆の考え方を採用。フェンダーやドア下部に少しえぐるような形で影面を作ることで、「ドアはしっかりと分厚く見え、フェンダーはしっかり張り出しているように見えるので、寸法以上の力強さが感じられるでしょう」とのことだった。

フロントまわりも変わった。源田さんは、「いままでのヘキサゴングリルやコの字型ランプはお客様にも伝わっているし、否定するつもりは全くありません」としたうえで、「チャレンジするためにこのフォレスターの存在感や力強さをどう表現しようかと考えると、それぞれの要素ごとではなくランプとグリルが一体化した大きな面がいいだろうと。

また、SUVは縦の厚みが大事なのでフードを持ち上げて、それを大きな要素と組み合わせることで、実寸以上に逞しく感じられることを狙いました」と、その造形に込めた思いを語った。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    内藤敬仁

    Takahito Naito

    1986年よりフリーランスカメラマンとして主に車関係の雑誌、広告の撮影に携わる。趣味は洗車。好きな音楽は1970年代のブリティッシュロック。たまにロードバイクでサイクリンロードを走って風圧と老化に抵抗したりする。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

フルチェンで6代目に進化!新型スバル・フォレスターの前後関係

前後関係をもっとみる

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事