【そのすべてに意味がある】新型C4のデザインが正真正銘のシトロエンである理由

公開 : 2025.04.08 11:05

造形すべてに意味があるということ

ボディサイドでは、エアバンプがなくなるとともに、プロテクションパネルが小さくなった。安定感を狙うとともに、複雑だったサイドの表情をシンプルに見せるためだ。

フロントバンパーやサイドのエアバンプに入っていた四角形のアクセントは、細いカラークリップに置き換えられた。LEDランプを反映したディテールで、オリジナルはサテンゴールドだが、違う色に変えることもできるという。

チーフデザインオフィサーのピエール・ルクレール氏(右)と、カラー&マテリアルデザイナー柳沢知恵氏。
チーフデザインオフィサーのピエール・ルクレール氏(右)と、カラー&マテリアルデザイナー柳沢知恵氏。    ステランティス・ジャパン

リアもシンプルであることを重視し、各所に伸びていたラインを水平基調で統一した。コンビランプもそのひとつで、これまでより落ち着いたイメージを出している。本来はエンブレムを置きたかったが、スペースに限りがあるのでレタリングにしたという。

個人的に感心したのは、ヘッドランプだけでなくリアコンビランプも、細い3本のLEDを基調とすることで、前後の統一感を図ったこと。さすがシトロエン、カーデザインの基本を熟知している。

インテリアはメーターパネルを5インチから7インチに大型化。シートは新型C3/C3エアクロスに続き、新世代のアドバンストコンフォートシートを採用した。

センターの板チョコのようなクッションは、1970年代生まれのGS/CXからインスピレーションを受けたもの。サイドとの切り替えをU字としたのは、サポート性能を上げるためだそうだ。素材はテップレザーとアルカンターラを使用し、赤いステッチを入れることでコントラストを出している。

話を聞いていてわかったのは、独創的な顔つきをはじめとする造形に、すべて意味があるということ。新型C4もまた、正真正銘のシトロエンだったのである。世代は変わっても哲学は変わらない。そう感じさせる技に感心した。

記事に関わった人々

  • 執筆

    森口将之

    Masayuki Moriguchi

    1962年生まれ。早稲田大学卒業後、自動車雑誌編集部を経てフリーランスジャーナリストとして独立。フランス車、スモールカー、SUVなどを得意とするが、ヒストリックカーから近未来の自動運転車まで幅広い分野を手がける。自動車のみならず道路、公共交通、まちづくりも積極的に取材しMaaSにも精通。著書に「パリ流環境社会への挑戦」(鹿島出版会)「MaaSで地方が変わる」(学芸出版社)など。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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