待望のプラグインHV登場 ジープ・アベンジャー 4xeへ試乗 四駆で本物の悪路性能を獲得

公開 : 2025.04.19 19:05

洗練されたHV ライト・ホットハッチのように軽快

公道へ出てみると、高負荷時には1.2L 3気筒エンジンのノイズが少々目立つ。バッテリーEV版の静けさとは、対照的といっていい。4xeでは2基目の駆動用モーターが加勢するが、eハイブリッドから明確な増強を感じるほどではないだろう。

0-100km/h加速は、9.5秒が主張される。ちなみに、eハイブリッドは10.9秒で処理する。低速域での6速デュアルクラッチATのマナーは、eハイブリッドより良好に思えた。

ジープ・アベンジャー 4xe(欧州仕様)
ジープアベンジャー 4xe(欧州仕様)

走行中は、エンジンと2基のモーターがシームレスに協調し、洗練度は高い。短距離なら電気だけで走行も可能で、発進・停止が多い市街地などでは、静かで穏やかな移動を叶えている。

スポーツ・モードを選ぶと、ハイブリッド・パワートレインが全力を開放。マニュアル・モードへ切り替えると、カーブが連続する区間で、ライト・ホットハッチのように駆け回れる。オフロード向きのタイヤから、スキール音を響かせて。

バッテリーEV版と異なり、大きな駆動用バッテリーを搭載しないため、4xeの車重は1475kgと遥かに軽量。ステアリングホイールの感触はダイレクトで予想しやすく、フォード・プーマほどではないものの、カーブでは機敏な印象を伴う。

想像以上の悪路性能 燃費は同クラスで最高

車高が僅かに増したサスペンションが組まれるものの、ボディロールの増加は想像より小さいようだ。全体的な運転体験が楽しいとまではいえないが、強みといえる高速巡航時の乗り心地への影響も殆どない。

都心部に多い鋪装のツギハギなど、荒れた路面では細かな揺れが多い様子。若干落ち着かず、疲れている時などは気になりそうだ。

ジープ・アベンジャー 4xe(欧州仕様)
ジープ・アベンジャー 4xe(欧州仕様)

今回は、アベンジャー 4xeでオフロードにも挑んでみたが、想像以上の走破性を披露。深い凹凸を巧みに処理し、酷く滑りやすそうな路面でも、トラクションを失うことなく前進し続けてくれた。

ジープらしいオフローダー的な見た目に合わせて、4xeでは悪路を前提にトランスミッションを改良。ドライブモードには、スノーとサンド&マッドが追加されている。

最低地上高は、もう少し欲しい。路面次第で、スキッドプレートが路面へ触れることがしばしばあった。それでも、リアへ追加された駆動用モーターが威力を発揮し、ランドローバーディフェンダーが必要そうな急斜面を、怯むことなく這い上がった。

ローレンジ・トランスファーや、ヒルディセント・コントロールは非実装。究極的には違いが現れる機能といえるが、余程チャレンジングな場所へ進まない限り、実感することはないはず。

燃費は、カタログ値で18.2km/L。同クラスでは、最高水準の効率といっていい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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