待望のプラグインHV登場 ジープ・アベンジャー 4xeへ試乗 四駆で本物の悪路性能を獲得

公開 : 2025.04.19 19:05

1.2Lエンジンに2基のモーターを組合せた、プラグインHVのアベンジャー 4xe ジープらしく精悍な雰囲気 洗練されたHV ライト・ホットハッチのように軽快 本物の悪路性能 英編集部が評価

1.2Lエンジンに2基の駆動用モーター

路面を選ばないオフローダーを作り続けるジープによる、市街地向けの小さなクロスオーバーが、アベンジャーだ。ラングラーほどの悪路性能は備えずとも、身近なファミリーカーとして魅力的な存在といえる。

これまでバッテリーEV版が先行していたが、新たにプラグイン・ハイブリッドの4xeが登場。電欠を気にすることなく、人里離れた荒野を目指すことも可能になった。

ジープ・アベンジャー 4xe(欧州仕様)
ジープ・アベンジャー 4xe(欧州仕様)

アベンジャー eハイブリッドと呼ばれる前輪駆動がベースで、電気モーターを追加し四輪駆動化。リアサスペンションは、マルチリンク式になる。

エンジンは、1.2L 3気筒ターボ「ピュアテック」。電圧48Vのスターター・ジェネレーター(ISG)が組まれ、6速デュアルクラッチAT内に、28psを発揮する駆動用モーターを備える。

更に4xeでは、2基目の駆動用モーターをリアアクスル側に追加。こちらも28psを発揮し、システム総合での最高出力は145psがうたわれる。トルクは、前後アクスルで50:50の比で与えることができ、電気だけで29km/hまでなら走行可能だという。

スタイリングでは、4xeのエンブレムがリアに貼られ、専用ボディキットを獲得。ルーフバーが載り、車高は10mmプラスされ、マッド&スノー・タイヤで悪路への親和性を強めている。オプションで、オールテレーン・タイヤも指定できる。

アベンジャー 4xeは、直近の30年間でジープ最小の四輪駆動。このサイズ感には、オリジナルのウイリス・ジープのようなイメージも香る。

ジープらしく精悍な雰囲気が好ましい内装

車内へ乗り込んでみると、座面の位置は高め。快適な運転姿勢を探しやすく、周囲の視界も充分に広い。車内空間は、バッテリーEV版と同等に広い。

ステアリングホイールの奥には、7.0インチのメーター用モニター。上位グレードを選ぶと、10.25インチへ拡大される。ダッシュボード中央には、10.25インチのインフォテインメント用タッチモニター。グラフィックは鮮明で、メニュー構造は理解しやすい。

ジープ・アベンジャー 4xe(欧州仕様)
ジープ・アベンジャー 4xe(欧州仕様)

アップル・カープレイとアンドロイド・オートには、標準で対応。センターコンソールには大きな収納ボックスがあり、ドアポケットにはペットボトルを立て置ける。助手席前の収納トレイなども便利だ。

内装は、高級感があるわけではないものの、ジープらしく精悍な雰囲気が好ましい。ただし、4xeであることの主張は控え目。数カ所のロゴとゴム製フロアマット、耐久性の高いシートクロスが採用される程度になる。

最上級のアベンジャーとして、もう少し差別化されても良かっただろう。ステランティス・グループで共有するスイッチ類やインターフェイスは、若干新鮮味も薄い。シートはフラット。ランバーサポートの調整機能は欲しい。

後席側は、前席へ高身長の大人が座ると、少し窮屈かも。小さな駆動用バッテリーは運転席の下へ積まれており、荷室は広々。380Lという容量は、トヨタヤリス・クロスの397Lに届かないが、実用性は悪くない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 執筆

    フェリックス・ペイジ

    Felix Page

    役職:副編集長
    AUTOCARの若手の副編集長で、大学卒業後、2018年にAUTOCARの一員となる。ウェブサイトの見出し作成や自動車メーカー経営陣へのインタビュー、新型車の試乗などと同様に、印刷所への入稿に頭を悩ませている。これまで運転した中で最高のクルマは、良心的な価格設定のダチア・ジョガー。ただ、今後の人生で1台しか乗れないとしたら、BMW M3ツーリングを選ぶ。
  • 翻訳

    中嶋健治

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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