【現役デザイナーの眼:新型スバル・フォレスター】『つかみ』は上々!肝となる『結末』は?

公開 : 2025.04.17 11:45

ミドルサイズSUV市場の中での存在感

ただ、リアに関しては、競合よりダントツに広いリアゲート開口幅や、リアコンビランプの必要面積などで造形の自由がほとんどないのだと思います。もう少しだけ機能とデザインのバランスをみつければ、より塊感のあるデザインになるのではないでしょうか。

この新型フォレスターをはじめ、ミドルサイズSUVのクラスにはトヨタRAV4日産エクストレイルマツダCX-5といった、各社の主力モデルが揃っています。いずれもグローバル市場で活躍する重要車種であり、だからこそメーカーごとの個性が色濃く表れます。

キャビンが大きく、機能的なサイドビュー。旧型とほぼ同じパッケージのようだが、車格は上がったように感じる。
キャビンが大きく、機能的なサイドビュー。旧型とほぼ同じパッケージのようだが、車格は上がったように感じる。    スバル

その中でフォレスターは視界性能、室内の広さ、荷室の使い勝手、衝突性能といった機能性をしっかりと追求したパッケージであり、そこが本質的な魅力です。

実際新型に乗っても、やはり視界の良さは旧型と変わらず、室内も広くて快適でした。

最後に、インテリアデザインについて。クロストレックのインパネをベースとしていると思うのですが、センターコンソールやドアトリムは布を巻いている部位が多く、より上質な仕立てになっています。

しかし、各要素がバラバラした印象もあり、この辺りは販売終了となったアウトバックの洗練度が高かったので、旧型より高価格帯になる新型フォレスターにも期待したいところではあります。

ただ、すでに受注も始まっており、あるディーラーの営業担当者によれば、かなり好調なスタートを切っているとのこと。 国内ではアウトバックの販売が終了した今、新型フォレスターがスバルの新たなフラッグシップとして、日本市場を牽引していくことを大いに期待しています。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渕野健太郎

    Kentaro Fuchino

    プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間に様々な車をデザインする中で、車と社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。

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