【7日間かけて日本基準へ】吉田拓生がマセラティ ジャパンPDIセンター探訪

公開 : 2025.05.26 08:05

日本で『再び』極まるマセラティ

想像していたより大掛かりで、徹底した品質検査が行われていたマセラティ ジャパンのPDIセンター。

3日目と4日目の作業は、それぞれペイントとメカニカルのリペア工程となっている。我々がペイントのリペア部門を訪ねた時にはホイールの補修が行われていた。

全ての検査を終えると、丁寧に専用カバーに包まれる。カバーの形状はかなり複雑だが、慣れれば10分ほどで装着できるとか。
全ての検査を終えると、丁寧に専用カバーに包まれる。カバーの形状はかなり複雑だが、慣れれば10分ほどで装着できるとか。    田中秀宣

作業をする前の状態を見せてもらったのだが、「これをキズというの?」というくらいのスポーク部の角の小さな塗料の偏りを、スペシャリストの方が様々な道具を使って丁寧に仕上げていく姿が印象的だった。

そして5日目は、実際に陸運局まで輸送して予備検査を取得。さらにETC車載器やTVチューナーといった機器も、この日に装着される。

6日目は、車両のクリーニング、ポリッシュ作業が行われ、真新しい白い保護カバーが掛けられる。そして最終の7日目には、全国のマセラティ正規ディーラーに向けて出荷されるのである。

これら一連のPDI作業は、マセラティ本社が定めたものがベースとなっているが、マセラティ ジャパンのそれはさらに高いレベルなのだという。というのも、品質に対する確かな目を持った日本のカスタマーからの要求、そしてPDIセンターがこれまで蓄積してきたノウハウ等によって、日本独自のスタンダードが存在しているからである。つまり、ここから出荷されるマセラティは世界一の基準をクリアした車両だと言えるだろう。

日本全国のマセラティ正規ディーラーにはPDI作業に関するパンフレットが置かれているのだが、そこには『Fatto in Italia、日本で極まる』とある。イタリアで製造され、我が国にやってきたマセラティは、PDIセンターにおいて『日本基準』まで高められた後、カスタマーの元に届けられるのである。

記事に関わった人々

  • 執筆

    吉田拓生

    Takuo Yoshida

    1972年生まれ。編集部員を経てモータリングライターとして独立。新旧あらゆるクルマの評価が得意。MGBとMGミジェット(レーシング)が趣味車。フィアット・パンダ4x4/メルセデスBクラスがアシグルマ。森に棲み、畑を耕し蜜蜂の世話をし、薪を割るカントリーライフの実践者でもあるため、農道のポルシェ(スバル・サンバー・トラック)を溺愛。
  • 撮影

    田中秀宣

    Hidenobu Tanaka

    写真が好きで、車が好きで、こんな仕事をやっています。
    趣味車は89年式デルタ・インテグラーレ。

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