さながらグループのワークス部門 3台のサンビーム・タイガー(2) もっと好成績を狙えた実力車

公開 : 2025.06.21 17:50

半世紀前にモンテカルロ・ラリーを走った、ワークスチームのサンビーム・タイガー V8エンジンの英国製クーペ 生き抜いた3台が再び集結 もっと好成績を残せた実力 UK編集部がレポート

さながら体制はルーツ・グループのコンペ部門

ワークス・ラリーマシン3台で挑んだ、第25回モンテカルロ・ヒストリック・ラリー。イタリアのミッレ・ミリアへ15年挑んだ経験を持つベルギーのMBモーターズは、1台毎にサポート車両を用意し、担当メカニックを2名づつ手配した。

3セットのスペアタイヤと、充実したスペアパーツも揃えられた。さながら、ルーツ・グループのワークス部門が復活したように。「メンテナンスが難しいクルマです。ドライブトレインは頑丈なのですが、電気系統が良くないんです」

第25回モンテカルロ・ヒストリック・ラリーへ出場したワークス仕様のサンビーム・タイガー
第25回モンテカルロ・ヒストリック・ラリーへ出場したワークス仕様のサンビーム・タイガー    画像提供:モンテカルロ・ヒストリック/レネ(Monte-Carlo Historique/Rene)

「30度を超えると、オーバーヒート気味になります。エンジンルームが狭く、レンチも届きにくい。指の出番も多いんです」。とティム・モット氏が振り返る。1番トラブルが多かったのは、カルロ・ミル氏がドライブしたダークブルーのADU 311Bだったとか。

走行距離を測るトリップマスターが不調で、2日間は正確な距離を出せなかったという。また最終日の前には、スロットルケーブルの一部が破損。山中の危険なルートで止まってしまうが、通りかかったドライバーの協力で、ペナルティなしで復帰できたとか。

ワールドカップでのゴール級のうれしさ

ところが、雪深いスペシャルステージで勝利したのは、そのADU 311Bだった。「あのステージを1位でフィニッシュした時は、サッカーのワールドカップでゴールが決まった時のように、うれしかったですよ」。ミルが笑う。

ADU 311Bの最終的な順位は、総合112位。285台がエントリーし、完走は232台だから、まずまずの結果といえるだろう。ADU 312Bをドライブしたイェーガー親子は、24位でフィニッシュ。スピード超過でペナルティを受けつつ、前年より順位を上げた。

第25回モンテカルロ・ヒストリック・ラリーへ出場したワークス仕様のサンビーム・タイガー
第25回モンテカルロ・ヒストリック・ラリーへ出場したワークス仕様のサンビーム・タイガー    画像提供:モンテカルロ・ヒストリック/レネ(Monte-Carlo Historique/Rene)

「モンテカルロ・ヒストリックは、他に類のない伝説的なステータスを持つラリー・イベントだと思います。競技性の高いカタチで再現されているのが素晴らしい」。セドリック・ドゥ・イェーガー氏が熱く語る。

マキシム・カストラン氏が駆ったAHP 294Bは、総合8位。コ・ドライバーは、知人でプロのフィリップ・デプランケ氏だった。「彼はいつも礼儀正しくて、今後も一緒にパートナーを組みたいですね」。通しで履いた、スタッドレスタイヤも効果的だったようだ。

もっと好成績を残せたタイガーのトリオ

MBモーターズを主宰するモットは、トリップマスターの不調やペナルティがなければ、サンビーム・タイガーのトリオはもっと好成績を残せたと悔しがる。主催者側が、住宅地での速度制限を徹底していたことは、理解できる対応だとしても。

レストアで美しい状態でしたが、ADU 311Bは40年以上も実戦から遠ざかっていた車両でした。でもラリー仕様へ仕立てるのに、さほど時間は不要でした。実力は充分に高い。レッドの2台と、上位争いへ加わるのも遠い未来ではないでしょう」

第25回モンテカルロ・ヒストリック・ラリーへ出場したワークス仕様のサンビーム・タイガー
第25回モンテカルロ・ヒストリック・ラリーへ出場したワークス仕様のサンビーム・タイガー    画像提供:モンテカルロ・ヒストリック/レネ(Monte-Carlo Historique/Rene)

3台のサンビームは、今後もラリーへ参戦する予定。4台目も加わる可能性があるという。MBモーターズの精鋭とともに、ワークス・タイガー・カルテットが大暴れしてくれる姿を目撃できるかもしれない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジュリアン・バルメ

    Julian Balme

    英国編集部ライター
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

3台のサンビーム・タイガーの前後関係

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