強みは信頼性と顧客対応力 誕生 トヨタ・アーバンクルーザー スズキが開発主導の新型EV

公開 : 2025.06.20 19:05

スズキeビターラの兄弟、アーバンクルーザー 整ったプロポーション やや狭めの車内に反応が遅いタッチモニター 快適性と操縦性のバランス良好 強みは信頼性と顧客対応力 UK編集部が試乗

開発はスズキが主導 整ったプロポーション

こちらは、スズキeビターラではなく、トヨタ・アーバンクルーザー。AUTOCARの読者ならご存知かもしれないが、この2台は兄弟モデルとなる。

実は英国では、2000年代後半にアーバンクルーザーという名のモデルが売られていた。日本では、トヨタ・イストと呼ばれていたクロスオーバーだ。大きなインパクトを与えたわけではないが、振り返ってみると、時代を先取りした存在だったように思う。

トヨタ・アーバンクルーザー 61kWh FWD(欧州仕様)
トヨタ・アーバンクルーザー 61kWh FWD(欧州仕様)

新しいアーバンクルーザーは、開発をスズキが主導。駆動用バッテリーはリン酸鉄リチウム系で、47.8kWhか59.8kWhの容量を選択可能。シングルモーターは174psの前輪駆動、ツインモーターでは183psの四輪駆動となる。シングルの144ps版もある。

大きなホイールがボディの四隅に配され、ボディのプロポーションは好印象。だがスタイリングに、強い印象を残すような個性はないように思う。eビターラと異なり、最近のトヨタ車らしく、ハンマーヘッドと呼ばれるフロントマスクを得ているが。

やや狭めの車内 反応が遅いタッチモニター

インテリアも、eビターラと共有。基本的にはモノトーンの世界で、兄弟ではグロスブラックのパネルで覆われるエリアが、サテン・グレーのパネルに置き換わっている。適度に上級感があって悪くない。全体的な内装に、高級感があるとはいえないけれど。

フロントシートはやや小ぶり。調整域は広く、丁度良い運転姿勢は探せるはず。リアシートはスライド可能だが、乗員空間を優先させると、荷室は限定的になる。このクラスでは、狭い側といっていいだろう。

トヨタ・アーバンクルーザー 61kWh FWD(欧州仕様)
トヨタ・アーバンクルーザー 61kWh FWD(欧州仕様)

ダッシュボード上には、メーター用モニターとインフォテインメント用のタッチモニターが一体になった、パネルが鎮座。ただし、システムの反応は遅い。運転支援システムやシートヒーターの操作にも、タッチモニターへ触れる必要がある。

シングルでも活発 快適性と操縦性の好バランス

発進加速は、シングルモーター版でも充分活発。アクセルとブレーキのペダルの反応は漸進的で、回生ブレーキの効きは少し癖があるものの、3段階から選択可能。センターコンソールのボタンで、惰性走行モードも選べる。ワンペダルドライブには対応しない。

市街地では、快適性と操縦性のバランスが好ましい。グリップ力に不足はなく、ステアリングホイールの重み付けは妥当で、カーブが連続する区間でも運転しやすい。このクラスでは、運転が楽しい部類に入るだろう。

トヨタ・アーバンクルーザー 61kWh FWD(欧州仕様)
トヨタ・アーバンクルーザー 61kWh FWD(欧州仕様)

サスペンションは、硬すぎず柔らかすぎず。減衰特性も好印象で、乗り心地は快適と呼べる。ただし、高速道路の速度域になると風切り音が目立ちだす。

気になったのが、運転支援システム。車線維持支援の介入が積極的で、制限速度警告は過敏。ドライバー監視機能も、顔によって制御が変化する様子。これらはタッチモニターでオフにできるが、反応が遅く、ここでもヤキモキする。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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