【10都市で重点店舗300店】マツダが国内販売の再成長に向けて宣言!新型CX-5とタイ生産小型SUVが後押し

公開 : 2025.06.23 07:05

マツダの国内販売が大きく変わります。6月19日に実施した『国内ビジネス成長に向けた事業構造変革』説明会で、年間販売台数を現在の15〜16万台から早期に20万台レベルを達成すると決意表明です。桃田健史がレポートします。

なぜ今、国内販売の変革が必要なのか?

マツダの国内販売が大きく変わる。6月19日にオンラインで実施した『国内ビジネス成長に向けた事業構造変革』説明会で明らかになった。年間販売台数を現在の15〜16万台から「早期に20万台レベルを達成する」との決意表明をしたのだ。

なぜ今、国内販売の変革が必要なのか? 今回明らかになったデータによって、その理由がよく理解できた。

マツダは2019年以降を『ビジネス停滞期』と捉え、危機感を抱いている(写真は新世代店舗)。
マツダは2019年以降を『ビジネス停滞期』と捉え、危機感を抱いている(写真は新世代店舗)。    マツダ

マツダの国内販売について、多くのユーザーが記憶しているのは、いわゆる『マツダ地獄』と、そこからのV字回復ではないだろうか。

マツダによれば、2011年までを『価格訴求の時代』と捉えている。値引きをしてでも1台でも多く販売することを続けた結果、『マツダ=値引き』のイメージが浸透。残価が大きく落ち込み、ユーザーはマツダ車買い替えの負のサイクルに陥った。

そうした状況が2012年に一変する。初代CX-5導入を機に、マツダ第6世代の商品性が高まり、大幅値引きをしなくてもマツダ車が売れるようになったからだ。これを『商品主導の成長期』と呼ぶ。

背景には、パワートレインでは『スカイアクティブ』、内外装では『魂動デザイン』、そして生産技術では『ものづくり革新』を推進した経営戦略の転換があった。

ところが、2019年以降は『ビジネス停滞期』に陥る。販売現場強化の取り組みは進展するも、新規顧客へのアプローチ不足や、地域戦略の欠如などが要因で国内販売は足踏み状態が続いている。だからこそ今、国内販売の変革が必然というわけだ。

ブランド価値経営徹底、3つの柱と4つの重点施策

では、どうやって変革するのか? 新戦略の全体としては、『3つ柱と4つの重点施策』とした。

3つの柱は、1:ブランド育成に向けた成長投資、2:優先地域の特定・都市圏戦略、そして3:店舗体験の向上に向けた現場支援の徹底だ。

2月にオープンしたブランド発信施設『マツダ・トランス青山』は月1万人以上と、想定を上回る来場者を集めている。特に女性比率の高さが際立っているそう。
2月にオープンしたブランド発信施設『マツダ・トランス青山』は月1万人以上と、想定を上回る来場者を集めている。特に女性比率の高さが際立っているそう。    マツダ

4つの重点施策では、1:販売網再構築、2:マツダ・ブランドにフォーカスしたマーケティング戦略、3:店舗へのブランド価値浸透の仕組み・体制整備、そして4:バックヤード機能効率化に伴う新会社(マツダビジネスパートナー)設立である。

このうち、ユーザー、そしてディーラーが最も気になるのは販売網の再構築であろう。アメリカ市場での成功事例のエッセンスを導入し、販売地域の『選択と集中』を大胆に実行するという。

新戦略では、東京を筆頭に全国主要10都市で、ストロング(重点店舗)を300店展開する。店舗あたりの販売台数目標は年間400台。地方部の店舗は段階的に集約される可能性があるが、地域によって状況は違う。

かなり強気な戦略に思えるが、マツダとしては当然、勝ち筋があると踏んでいる。

中長期の経営戦略である『2030経営方針』の中で、現在はフェーズ2(2025〜2027年)。国内向け商品としては新型CX-5と、タイ生産の小型SUVがあり、これらが国内販売を後押しする可能性が高い。

マツダの目論見通り、国内販売が再成長期を迎えることができるのか。今後の進捗を注視したい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    桃田健史

    Kenji Momota

    過去40数年間の飛行機移動距離はざっと世界150周。量産車の企画/開発/実験/マーケティングなど様々な実務を経験。モータースポーツ領域でもアメリカを拠点に長年活動。昔は愛車のフルサイズピックトラックで1日1600㎞移動は当たり前だったが最近は長距離だと腰が痛く……。将来は80年代に取得した双発飛行機免許使って「空飛ぶクルマ」で移動?
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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