他にはない愛おしさ トヨタ・ランドクルーザー 250(2) 舗装路でも充分快適 悪路性能は当然?

公開 : 2025.07.25 19:10

特有のオーラを漂わせる、ランドクルーザー 250 2.8L直4ディーゼルは203ps 剛性50%増しのラダーフレーム 遥かにモダンな内装 本気のオフローダーとして充分快適 UK編集部が試乗

堅牢さを追求した駆動系 高くはない動力性能

まったく新しい、トヨタランドクルーザー 250。全体から醸し出される素朴で実直な雰囲気は、オフローダーとしての本質を追求したからだろう。あらゆる地形へ怯むことなく、余計な苦労なしに走り切ることを可能としている。

2.8L直列4気筒、1GD-FTVユニットは扱いやすく、実績を振り返れば信頼性に間違いないはず。ただし、屈強なドライブトレインは音振が小さくなく、発進や低速走行がシームレスなわけではない。堅牢さを追求した代償といえる。

トヨタ・ランドクルーザー 2.8 D-4D 204インヴィンシブル(英国仕様)
トヨタ・ランドクルーザー 2.8 D-4D 204インヴィンシブル(英国仕様)

動力性能は、価格を考えるともう少し高めたいところ。パワーウエイトレシオは87ps/tで、0-100km/h加速には10.3秒を要する。他方、最大トルクが太く、1600rpmから50.9kg-mを得られる。中間加速には活発さがあり、トレーラーの牽引も余裕だ。

困難な悪路を悠々と進む 舗装路での安心感

四輪駆動システムをローレンジにし、マッドモードを選ぶと、急斜面で速度を一定に保てるクロールコントロールが有効になる。この状態なら、ステアリングホイールを操るだけで、歩くのも困難な悪路を悠々と進める。

河川や急斜面などでは、イネオス・グレナディアより優勢。フロントのアンチロールバーを切り離せ、トラクションも見事といえる。渡河水深は700mmで、ランドローバーディフェンダーの900mmに届かず。路面とボディが接する角度は、横並びだが。

トヨタ・ランドクルーザー 2.8 D-4D 204インヴィンシブル(英国仕様)
トヨタ・ランドクルーザー 2.8 D-4D 204インヴィンシブル(英国仕様)

舗装路での操縦性も、制限速度の範囲であれば、安心感がある。実際は悪路を殆ど走らないドライバーも多いはずで、もう少し洗練させたいところではあるが、ラダーフレームを採用するオフローダーとしてはトップクラスといっていい。

電動アシストのステアリングは、適度な重さで反応は正確。グレナディアとは大違いだ。アルミニウム製モノコックの、ディフェンダーほど直感的ではないけれど。

本気のオフローダーとしては充分快適

姿勢制御はおおらか。凹凸の目立つアスファルトでは、揺れが小さくない。一部の市場ではアダプティブダンパーを指定できるが、英国では非採用。サスペンションのストロークが長いため、ボディの上下動が目立つのは避けられないといえる。

エアスプリングは、そもそも設定にない。トヨタは、充分な堅牢性と信頼性を得られないと判断したらしい。リジッドアクスルということもあり、車線変更時の身のこなしは素直とは呼びにくい。カーブではロールし、重く背が高いことを実感する。

トヨタ・ランドクルーザー 2.8 D-4D 204インヴィンシブル(英国仕様)
トヨタ・ランドクルーザー 2.8 D-4D 204インヴィンシブル(英国仕様)

走行時の静寂性は、ボディの形状やディーゼルエンジンを考えれば、期待しにくい。110km/hでの車内のノイズ量は65dBAで、オールシーズンのBFグッドリッチ・タイヤを履いたディフェンダーより、遥かにうるさかった。

それでも、本気のオフローダーとして考えれば間違いなく快適。運転席からの視界も広く、高速道路での長距離移動はグレナディアより安楽だろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    リチャード・レーン

    Richard Lane

    役職:ロードテスト副編集長
    2017年よりAUTOCARでロードテストを担当。試乗するクルマは、少数生産のスポーツカーから大手メーカーの最新グローバル戦略車まで多岐にわたる。車両にテレメトリー機器を取り付け、各種性能値の測定も行う。フェラーリ296 GTBを運転してAUTOCARロードテストのラップタイムで最速記録を樹立したことが自慢。仕事以外では、8バルブのランチア・デルタ・インテグラーレ、初代フォード・フォーカスRS、初代ホンダ・インサイトなど、さまざまなクルマを所有してきた。これまで運転した中で最高のクルマは、ポルシェ911 R。扱いやすさと威圧感のなさに感服。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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