【大型特殊免許の一発試験に挑戦】費用は10分の1!黒木美珠が感じたメリットとデメリット

公開 : 2025.08.18 11:45

免許取得には教習所に通うのが一般的ですが、運転免許試験場で直接技能試験を受ける『一発試験』という方法もあります。今回は、大型特殊免許を一発試験で取得した黒木美珠がその過程を振り返り、メリット・デメリットをお伝えします。

きっかけは教官のひと言

大型免許の教習を受けていたときのことです(編集部注:詳しくは下記の大型免許取得レポート全3回を参照)。教習中、隣に座っていた教官から「運転感覚を掴むのが早いから、一発試験でもいけたんじゃない?」と言われました。

内心『お金を払って教習所に通っているのにそんなことを言わないでくださいよー』と思いつつ詳しくうかがうと、教官の奥様も運転感覚を掴むのが早いタイプで、試験の注意点を口頭で詰め込んで指導したら一発試験で全種類の免許を取得されたというのです。これは興味深い!

試験車両とは違いますが、ホイールローダーのミニカーをゲット。
試験車両とは違いますが、ホイールローダーのミニカーをゲット。    小川和美

一発試験という制度自体は耳にしたことがありましたが、実際にどのように受験するのか、どんな流れで免許が交付されるのかは全く知りませんでした。自動車に関する発信をしている立場として、この制度を自分の体験として知っておきたいという思いが強くなり、早速挑戦を決めたのです。

決心した時点で、大型免許は教習所で取得中だったため、残る取得可能な免許は大型特殊、牽引、大型自動二輪、第二種といった種類がありました。その中から選んだのは、大型特殊免許。全長12m未満、全幅2.5m未満、全高3.8m未満で、最高時速が15km/h以上の特殊車両を公道で運転するための免許で、ホイールローダーやラフタークレーン、除雪機を動かせますが、作業そのものを行うには別途作業免許が必要です。

比較的合格率が高いとされていますが、それでもおよそ30%しか受からないとのこと。『一発試験』とはいえ、1回で合格することは考えず、何度か挑戦して取得できれば良いかな、と思うことにしました。

一発試験の仕組みと試験車両

私が受験した県では、一発試験の予約は免許センター窓口のみでの受け付けでした。受付時間は午前と午後の決められた時間に限られ、外国免許切り替え業務と共用の窓口は常に混雑していたので、行列の最後尾を見つけて並ぶだけでも一苦労。しかも予約枠は3〜4週間先まで埋まっている状態でした。

やっと迎えた試験当日。受付で受験料を支払い、待合室でコース図を確認します。コースは2種類のみで、どちらのコースになるかは当日になってみないとわかりません。

コマツのホイールローダーWA100-7。機械質量は8000kg近くあります。
コマツのホイールローダーWA100-7。機械質量は8000kg近くあります。    コマツ

試験車両は中折れ式ホイールローダー、コマツWA100。この車両が運転感覚が掴みやすいとされる理由は、車両中央が折れ曲がる構造にあり、前輪と後輪が同じラインを通るため内輪差がほとんどなく、『前輪が通れた場所は後輪も通れる』ため、脱輪のリスクが低いからです。

一方で、独特な操舵感に慣れていないと大きくふらつきやすい特性も。この『ふらつき』は減点対象となるため注意が必要です。

そもそもホイールローダーに乗るのが初めての経験です。運転席は大型トラックとほぼ同じ高さにあり、ステップを2〜3段登った先にあります。普通車とも大型トラックとも異なる独特の感覚で、まずドアの開け閉めに戸惑いました。

事前のリサーチで、試験車両は3速マニュアル車が主流と聞いていましたが、私が乗ったのはAT仕様。ステアリングは思っていたよりも小径で、普通車より小さく感じられます。

シフトレバーは国産車でいうワイパーレバーの位置にありました。ブレーキはステアリング右下と左下の2箇所にあり、左側のブレーキは作業時に使用するもので、一発試験では使うことはありません。ただし、初めて乗る場合はクラッチと間違えないよう注意が必要です。

記事に関わった人々

  • 執筆

    黒木美珠

    Miju Kuroki

    1996年生まれ、静岡県出身。自動車系YouTuberとしての活動を経て、自動車ジャーナリスト(の卵)へと転身。自身の車中泊による日本一周の経験をきっかけに、クルマを通じたライフスタイルの可能性に魅了されるようになる。現在は、輸入車デビューを目指す連載をはじめ、車中泊視点での車両レビューや、YouTubeチャンネル『AUTO SOUL JAPAN』の運営など、多角的に活動中。クルマを単なる移動手段や機械としてではなく、その背景にある開発者の想いや、クルマを取り巻く文化、そして『移動すること』そのものの価値を伝えることをモットーとしている。
  • 撮影

    小川和美

    Kazuyoshi Ogawa

    クルマ好きの父親のDNAをしっかり受け継ぎ、トミカ/ミニ四駆/プラモデルと男の子の好きなモノにどっぷり浸かった幼少期を過ごす。成人後、往年の自動車写真家の作品に感銘を受け、フォトグラファーのキャリアをスタート。個人のSNSで発信していたアートワークがAUTOCAR編集部との出会いとなり、その2日後には自動車メディア初仕事となった。

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