【キーワードはお肉食べる?】『革製品=エコではない』は間違い?オーテックの勉強会でわかったこと

公開 : 2025.08.18 11:05

日産モータースポーツ&カスタマイズの『オーテック』主催による、革製品の社内勉強会が開催されました。一部報道陣の参加も許されたので、その内容を内田俊一がお伝えします。キーワードは『お肉食べる?』です。

革のために動物を殺している?

日産モータースポーツ&カスタマイズの『オーテック』主催による、革製品の社内勉強会が開催された。一部報道陣の参加も許されたので、その内容をお伝えする。キーワードは『お肉食べる?』だ。

現在オーテックでは品質感向上や高級感演出のため、シートなどに用いるレザー開発を行っている。一方で脱レザーという風潮もあり、自社として正確な情報をもとに開発に臨みたいということで開催されたのがこの勉強会だ。

オーテックは品質感向上や高級感演出のため、シートなどに用いるレザー開発を行っている。
オーテックは品質感向上や高級感演出のため、シートなどに用いるレザー開発を行っている。    日産自動車

今回の講師は、一般社団法人日本皮革産業連合会のプロジェクトである『シンキングレザーアクション』(TLA)座長で、川善商店代表取締役の川北芳弘さん。TLAでは、特に革のサスナビリティを発信するための企画、プロジェクトを推進している。

さて、読者諸兄はシートなどに使われている革をどのように捉えているだろうか。もしかしたら動物愛護の観点からもう使わない方がいい、あるいは、エコではないなどネガティブなイメージをお持ちかもしれない。果たして本当にそうなのかというのが、今回のテーマになった。

最大の論点は、革のために動物を殺しているのではないかということだ。川北さんは「革製品のために動物の命をいただくことはありません」と断言。さらに「革製品を作るのをやめても家畜の飼育頭数に影響はなく、畜産のCO2も減りません。それどころかCO2が増える可能性があります」と述べる。

お肉を食べれば皮は出る

なぜそう言い切れるのだろう。川北さんは次のように説明する。

「革製品は、食肉用などのお肉をいただくときに出る皮を活用して製造します。肉を食べたら絶対に出るんです」。つまり、「皮は余り物で使わなければ廃棄物になる」というわけだ。

まだ市販化されていない最も高級品質のレザー。手触りが全く違いしなやかな印象。
まだ市販化されていない最も高級品質のレザー。手触りが全く違いしなやかな印象。    内田俊一

では、脱レザーを徹底したらどうなるのだろうか。川北さんは、「牛の場合、日本だけでも年間100万頭の生皮が出続けます。それを革にしなかったら燃やすか、埋めるしかない」という。しかも生皮のため燃えにくくCO2発生にもつながり、埋めた場合もその敷地の確保や臭いの対策が必要になる。

少し視点を変えて、ファッションのハイブランドではどうなっているのだろう。「(外部機関の調査によると)ルイ・ヴィトンやディオール、フェンディ、ブルガリなど、副産物である天然皮革をやめているところは一社もありませんし、やめる気もないでしょう」と川北さん。

一方で、毛皮はやめているところが多いという。「毛皮はそのために動物を育てなければいけない場合があるから」だという。川北さんは、「お肉が食べられるかどうかが線引きの基準」と語った。

川北さんによると、現在世界で年間3.2億頭の牛を食べていて、そのうち革製品に使われているのは1.65億頭だそうだ。つまり既に1.55億頭の牛の皮は廃棄されていることになる。それであればわざわざ革製品を作るために牛を殺す必要はない。確かになめすための工数や手間などを考えるとコストアップはあるだろう。

しかし、単純に革製品イコール動物虐待に繋がるという考えは現実的でなく、過酷な労働条件などの人権問題や環境配慮も含めて、現状を正しく認識していく必要性を強く感じた勉強会だった。

*筆者注:文中では『皮=加工前のもの』、『革=加工後、なめしたりした後のもの』で使い分けています。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事