【大型免許取得後、初めてのトラック取材へ】黒木美珠がいすゞプラザとエルフミオで体感した商用車の世界
公開 : 2025.07.08 08:05
大型免許を取得してからというもの、『トラックの世界をもっと知りたい』と思いを募らせてきたという自動車ジャーナリストの卵、黒木美珠。今回、初めての商用車取材として『エルフミオ』の試乗に挑みました。
社名に込められた想いと、商用車の原点
大型免許を取得(編集部注:詳しくは【大型免許、取得しました】第3章:無事合格! 自動車ジャーナリスト(修行中)黒木美珠の挑戦)してからというもの、『早くトラックの世界を知りたい』という思いが、自分の中で膨らんでいました。
その最初の一歩として訪れたのが、神奈川県藤沢市にある『いすゞプラザ』です。こちらは創業80周年を記念して2017年に開館したいすゞの企業ミュージアムで、完全予約制ながら、誰でも無料で見学することができます。

展示内容はここではとても書ききれないほど盛りだくさんでしたが、本稿ではそのなかでも特に印象に残った『いすゞのルーツ』と『自動車ジオラマ』に焦点を当てたいと思います。
いすゞの起源は、1916(大正5)年に東京石川島造船所が自動車の生産に関する調査・研究を始め、試作車の製造に着手したことにさかのぼります。その後、1937(昭和12)年には自動車工業(株)が東京瓦斯電気工業(株)と合併し、『東京自動車工業株式会社』を設立。これが、いすゞの創立とされています。
『いすゞ』という名は、三重県・伊勢神宮を流れる『五十鈴川(いすずがわ)』が由来。さらに、初代のいすゞエンブレムには、この五十鈴川に広がる『さざなみ』がモチーフとして取り入れられていました。品格ある佇まいを感じさせる名前とデザインに、上品な美しさを感じます。
館内で『働くクルマ』の役割をより実感できた展示が、巨大な自動車ジオラマです。ここでは、架空の『いすゞ県いすゞ市』という街を舞台に、夜明けから深夜まで、1日の暮らしの中で活躍する車両たちの姿を立体的に再現。早朝には学生さんたちを送り届けるスクールバスが走り出し、街には配送へと向かうトラックの姿も見られます。細部までこだわった演出によって、1日の流れとともに商用車が果たす役割を、自然と感じ取ることができました。
なかでも、暮らしの裏側を陰で支えてくれていることに気づかされたのが、夜間に道路を清掃する『道路清掃車』の存在。普段は意識する機会が少ないですが、日本の道路がこれほどまでに美しく保たれているのは、こうした『見えないところで支えてくれているクルマ』たちのおかげなのだと、改めて思い至りました。
普通免許(AT限定)で運転できる、エルフミオ・ディーゼル仕様
いすゞプラザでその歴史と思想に触れたあと、いよいよ、トラックの試乗取材をさせていただくことに。今回体験したのは、普通免許(AT限定)でも運転できる小型トラック『エルフミオ』です。
現在、いすゞは小型トラックの『エルフ』、中型の『フォワード』、大型の『ギガ』という3本柱を中心にトラックを展開しています。その頭文字を取って『EFG』と覚えると良いですよ、と担当者さんから教えていただきました。

『エルフミオ』は、普通免許(AT限定)で運転できることで免許の壁を低くし、配送需要に応えてくれるモデル。特にドライバー不足が進む現代においては、現場を支える一台として大きな意義を持つと感じます。ドライバーにとっては心理的な運転のハードルが低く、企業にとっても新たに免許取得のためのコストをかけずにすみます。近距離のルート配送であればパートスタッフに任せる、といった柔軟な運用も可能でしょう。
今回試乗したのはシングルキャブの標準ボディ仕様で、先代のD-MAXに搭載されていた1.9Lディーゼルエンジンを搭載しています。外観はまさにトラックといった印象ですが、ボディサイズは全長4690mm、全幅1695mm、全高1960mmとコンパクト。4ナンバーサイズなので普通車感覚で乗ることができそうです。
乗り降りのしやすさを考慮してAピラーには手すりが設けられており、キャビン内では前後方向のシートスライド量がしっかり確保されています。ステアリングは普通乗用車と変わらないほどコンパクトで、しかもチルト&テレスコ機能付き。ちょうどいいシートポジションにセッティングできました。
走り出しは非常に静か。出足はじんわりと穏やかで、乗用車のような鋭いレスポンスではありませんが、むしろそれが商用車としては理にかなっているそうです。荷物にやさしく、積載物の崩れを防ぐためには、この『じわっと加速』がとても重要なのだとか。穏やかな走り出しに始まり、中高速ではしっかりとした力強さを感じられる加速フィールでした。
また、リアウインドウが大きく設計されており、左折時や車線変更時の巻き込み確認において『ちゃんと目視できる』という安心感がありました。トラックを運転していることを忘れてしまうほど扱いやすく、良い意味で『普通のクルマ』として付き合えるだろうという確信をもてました。





























