フェラーリ500に勝ったEタイプ クームズ・チューン・ジャガー(2) マニア心を刺激するコダワリ

公開 : 2025.09.13 17:50

買い物の足にも使われた実用性

2番目のオーナー、ピーター・ヴォーズ氏は欧州大陸を横断する旅行などを楽しみ、6万kmほど距離を伸ばした。彼は、1967年にモータースポーツ誌へEタイプの印象を投稿している。実用性の素晴らしさへ触れられており、買い物の足にも使われた。

「サルーンのSタイプも、3・4台手掛けたはずです。特に覚えているのは、レーシングチームの創設者、トニー・ヴァンダーヴェル氏が注文したダーク・ブルー。最初の整備で戻ってきた時、ワイヤーホイールがすべて壊れていたので」。ベルが振り返る。

ジャガーEタイプ(1961〜1975年/クームズ仕様)
ジャガーEタイプ(1961〜1975年/クームズ仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

ダンロップへ連絡すると、ホイールは強度の高いストレートハブへ改造されました。Mk2より車重が重く、耐えきれなかったのでしょう」

完全なオリジナル状態のMk2は2台だけ

クームズ仕様のMk2は、20台ほど現存するとベルは考えている。だが、彼が把握している限り、完全なオリジナル状態にあるのは2台だけのようだ。

「殆どへ手が加えられています。例えば、レーシングドライバーのケネス・マカルパインさんが乗っていたMk2は、当初レーシング・グリーンでした。でも自分が1990年代に修理した時は、ダークブルーに塗り直されていましたからね」

左からクームズ仕様のジャガーMk1と、Eタイプ、Mk2
左からクームズ仕様のジャガーMk1と、Eタイプ、Mk2    マックス・エドレストン(Max Edleston)

1980年代初頭、ジャガーはブリティッシュ・レイランド体制下で低迷。クームズ&サン社は、主に扱うブランドをBMWへ切り替えた。

その後クームズ本人は事業を手放し、モナコへ移住している。彼が手掛けたスーパー・ジャガーへコレクターの羨望が向けられていることに、困惑していたのかもしれない。

協力:ピーター・ヒューゴ氏、ウィンスピード・モータースポーツ社

改造に携わったメカニック再会の様子は、クームズ・チューン・ジャガー(3)にて。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マーティン・バックリー

    Martin Buckley

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

クームズ・チューン・ジャガーの前後関係

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