コレで公道OK アトム4世代を乗り比べ エンジンはシビック・タイプR アリエルって何者?(2)

公開 : 2025.09.12 19:10

驚くほど順調に成長を続けるアリエル 短時間でカタチになるアイデア 想像以上に清々しいアトム 1の第一印象 成熟度が増し歴代最速のアトム 4 UK編集部が気鋭メーカーに迫る

想像以上に清々しいアトム 1の第一印象

同じモデルの歴代4世代を、一度に乗り比べる。そんな機会は、大手自動車メーカーのモデルでも難しい。初代が築いた精神が、どう受け継がれているのか、つぶさに検証できる機会は滅多にない。

アリエル・アトムはどうだろう。25年間で、1から4へ進化した。見た目はそこまで大きく違わないが、構成する技術は変化している。

イエローのアリエル・アトム 3と、ブルーのアトム 4
イエローのアリエル・アトム 3と、ブルーのアトム 4

アトム 1へ試乗するのは、20年ぶりくらい。既に印象は忘れていた。改めて対面すると、チューブラー・スペースフレームは小さく乗り降りしやすい。ボディと呼べる部分はほぼないが、運転姿勢は悪くなく、窮屈な感じはない。

バケットシートは、肩周りのサポート性が思いのほか高い。1.8LのローバーKシリーズ・ユニットを目覚めさせる。走りの第一印象は、想像以上に清々しい。

一体感は抜群 車線の幅で楽しめる余地

アトム 1のエンジンは、シャシーへ直接固定されている。積極的に回るが、ノイズは雑味が多い。細かな振動が、パイプフレームを介してドライバーへ伝わる。アクセルペダルは軽すぎ、少し扱いにくいが漸進的。深く踏まなくても、回転数は上昇していく。

軽快に身をこなし、一体感は抜群。ステアリングはクイックだが、ストレートでは少し過敏かもしれない。凹凸の目立つ区間では、直進安定性に陰りが出る。運転体験の刺激はやや薄いが、コンパクトだから、車線の幅で楽しめる余地がある。

アリエル・アトム 2(英国仕様)
アリエル・アトム 2(英国仕様)

最高出力は119psで、1t当たり200馬力以上に相当し、現代の水準でも敏捷。シフトレバーは、丁寧に扱う必要がある。ストロークは短いが重く、ゲートの間隔は狭い。最新のアトム 4より運転は難しいものの、より純粋。完成度は、今でも高い。

シビック・タイプR用エンジンを獲得

アトム 2へ乗り換えると、差が小さいことへ気付く。2.0L 4気筒のホンダ・エンジンへ更新され、162psへ上昇している。こちらも直接フレームへ固定されているが、回転は滑らかで、細かな振動は排除されている。成功のレシピを保ちつつ、改善されている。

アトム 3では、ちゃんとしたエンジンマウントが採用され、エンジンにはバランスシャフトが実装された。シャシーは新しくなり、サスペンションも再設計されている。身長の高い大人でも理想的な運転姿勢を探せ、快適性も増した。

イエローのアリエル・アトム 3と、ブルーのアトム 4
イエローのアリエル・アトム 3と、ブルーのアトム 4

後期型のアトム3 Rは、この世代の集大成。シビック・タイプR用エンジンにはスーパーチャージャーが組まれ、355psをひねり出す。ステアリングホイールの裏にはシフトパドルが備わり、瞬時にギアを切り替えられる。走りは遥かに勇ましい。

回頭性には落ち着きが生まれ、乗り心地も柔軟。最高出力を引き出さずとも、ドライバーには全力が求められ、アトム 2より没入感は深くバランスが良い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マット・プライヤー

    Matt Prior

    役職:編集委員
    新型車を世界で最初に試乗するジャーナリストの1人。AUTOCARの主要な特集記事のライターであり、YouTubeチャンネルのメインパーソナリティでもある。1997年よりクルマに関する執筆や講演活動を行っており、自動車専門メディアの編集者を経て2005年にAUTOCARに移籍。あらゆる時代のクルマやエンジニアリングに関心を持ち、レーシングライセンスと、故障したクラシックカーやバイクをいくつか所有している。これまで運転した中で最高のクルマは、2009年式のフォード・フィエスタ・ゼテックS。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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