成長と成功 アリエルって何者?(1) 25年目を迎えた気鋭メーカー 電動化を見据えた未来

公開 : 2025.09.12 19:05

驚くほど順調に成長を続けるアリエル 短時間でカタチになるアイデア 想像以上に清々しいアトム 1の第一印象 成熟度が増し歴代最速のアトム 4 UK編集部が気鋭メーカーに迫る

驚くほど順調に成長を続けるアリエル

アリエルは驚くほど順調だ。2000年に発売したアトム 1で確かな手応えを掴み、目覚ましい成長を遂げた。創業者のサイモン・ソンダース氏は手腕を振るい続けているが、変化する事業へ対応すべく、息子のヘンリー氏が現在は社長の座にある。

真新しいアリエルが納車されるまで、注文から1年近く待つことになるものの、人気は揺るがない。独自性の高いモデルは多様にカスタマイズ可能で、製造品質は毎年のように向上している。彼らのビジネススタイルは、大手メーカーも注目しているに違いない。

アリエルの創業者、サイモン・ソンダース氏と、歴代のアトムたち
アリエルの創業者、サイモン・ソンダース氏と、歴代のアトムたち

群を抜く性能を秘めたモデルを提供し、ブランドは競争の厳しい自動車市場で一目置かれる存在になった。ディーラー網を築くことなく購入希望者を生み出し、自らサービス施設を準備し、スペアパーツの提供や中古車の販売も管理している。

その拠点となっているのが、グレートブリテン島南西部、サマセット州にある本社。小さな工業団地の一角で、これまで1500台から2000台が生産されてきた。

ラインナップはアトムとノマド、エース

ラインナップは、スポーツカーのアトムと、オフローダーのノマド、スポーツバイクのエースという3種類。リセールバリューの高さが、製品力の高さを裏付ける。

サイモンは、自らの功績の大きさを理解しているはずだが、お会いした印象は控えめ。将来を踏まえて、デザイナーやエンジニア6名とともに、将来の製品構想を練っている。ビジネスを維持するうえで、もう少し規模は大きい方が高効率だと考えている。

グレートブリテン島南西部、サマセット州にあるアリエルのワークショップの様子
グレートブリテン島南西部、サマセット州にあるアリエルのワークショップの様子

50名ほどの従業員を雇い、年間150台ほどの車両をラインオフするのが理想だという。より良い環境を求めて、新工場の計画も進んでいる。

自動車業界の先は見えにくいが、電動化時代にも魅力的なモデルを生み出すメーカーであり続けると、筆者は疑わない。2025年で25周年を迎えるが、最大の関心は未来にある。

ケータハムに並ぶ魅力的なクルマという課題

ポルシェアストン マーティンでデザイナーを務めたサイモンが、大学のデザイン講師になった頃、アリエルのアイデアは生まれた。AUTOCARも後援した、ケータハム・セブンに並ぶ魅力的なクルマをデザインする、という課題がきっかけだ。

1993年のバーミンガム・モーターショーで展示されたスケールモデルは、チューブラー・スペースフレームがむき出しだった。サイモンと学生だったニキ・スマート氏は、量産化の可能性を探った。

アリエル・アトム 3(英国仕様)
アリエル・アトム 3(英国仕様)

「ワンオフモデルの提案で最も生産的な取り組みは、欠陥を確認し、改めて作ること。当初のアイデアはサイズが小さすぎ、作り直したんです。それがアトムの始まりです」

最初の量産車、アトム 1へ載ったエンジンはローバーのKシリーズ。2年後にホンダシビック・タイプR用ユニットで再設計され、スーパーチャージャー版のアトム 3、洗練度を高めたアトム 4と続いた。アトム 5の開発も、視野にあるという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブ・クロプリー

    Steve Cropley

    役職:編集長
    50年にわたりクルマのテストと執筆に携わり、その半分以上の期間を、1895年創刊の世界最古の自動車専門誌AUTOCARの編集長として過ごしてきた。豪州でジャーナリストとしてのキャリアをスタートさせ、英国に移住してからもさまざまな媒体で活動。自身で創刊した自動車雑誌が出版社の目にとまり、AUTOCARと合流することに。コベントリー大学の客員教授や英国自動車博物館の理事も務める。クルマと自動車業界を愛してやまない。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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