【10年分の進化はどこに】スズキ・アルト・ラパンがマイチェン!ポイントは可愛いの多様化対策?

公開 : 2025.09.18 11:45

スズキの『アルト・ラパン』(以下ラパン)と『アルト・ラパンLC』(以下LC)がマイナーチェンジ。改良のポイントについて、内田俊一が開発責任者とカラー・マテリアル・フィニッシュ(CMF)を担当したデザイナーに話を聞きました。

10年分の進化と乗りやすさに注力

スズキの『アルト・ラパン』(以下ラパン)と『アルト・ラパンLC』(以下LC)がマイナーチェンジ。改良のポイントについて開発責任者とカラー・マテリアル・フィニッシュ(CMF)を担当したデザイナーに話を聞いた。

開発責任者の竹中秀昭さんによると今回のポイントは、「顔まわりなどのデザイン変更だけでなく、安全装備が最新になり、パワートレインでは初めてハイブリッドになったことが大きい」という。特にラパンは発売後10年経過することから、大幅なアップデートとなる。

スズキ商品企画本部四輪軽・A商品統括部の竹中秀昭さん(右)と四輪デザイン部エクステリア課の長嶋みのりさんとマイチェンを受けたアルト・ラパンLC。
スズキ商品企画本部四輪軽・A商品統括部の竹中秀昭さん(右)と四輪デザイン部エクステリア課の長嶋みのりさんとマイチェンを受けたアルト・ラパンLC。    内田俊一

同時に『高減衰構造用接着剤』を採用したほか、足まわりのセッティングを見直しタイヤも変更したことから、「外観以上に中身も大きく変わっています」と竹中さん。その背景には、「初めてのクルマとして購入される方が多くいらっしゃいます。素直に動いてくれる、運転しやすいクルマがラパンとラパンLCですので、そこをさらに違和感なく仕上げました」と話す。

デザイン変更について四輪デザイン部の長嶋みのりさんは、「ラパンはエフォートレスエモというテーマでデザインしました。肩肘張らないという意味と、エモーショナルな雰囲気を掛け合わせてデザインコーディネートしています。キラッとするような、日常にきらめきを与えられるようなデザインを目指しました」。

そしてLCは、「ハンサムトラッドスタイルです。女性が男性のジャケットを身に着けるなど、ジェンダーレスな雰囲気が可愛いと最近では感じられるように、可愛いが多様化してきています。そういったこだわりを持つお客様に向けてデザインしました」と説明した。

トーンを落として心が動くようなカラー

ではそのテーマを元にどうデザインしたのか。まず、ボディカラーは新色として『ルーセントベージュパールメタリック』が追加された。改良前では『フォーンベージュメタリック』という似たカラーが人気だったものの、発売から10年経ったことからそのアップテートという位置付けだ。長嶋さんがこう説明する。

「明度を落とすことで、性差なく乗れるようにしつつ、光が当たると光の粒がキラキラと輝くような質感になるように、マイカの量などを調整しました。すごく白く、綺麗に輝くようなベージュになっていますので、心が動くような可愛さが表現できているでしょう」

アルト・ラパンLCのCMFを『ハンサムトラッドスタイル』でデザインしたという長嶋みのりさん。
アルト・ラパンLCのCMFを『ハンサムトラッドスタイル』でデザインしたという長嶋みのりさん。    内田俊一

また、『フォギーブルーパールメタリック』という新色も投入。これまでスズキ各車にあった『オフブルーメタリック』と比較すると、「ぐっと明度を落して大人っぽい、色気のあるような雰囲気を纏わせています。LCのハンサムトラッドというコンセプトに合う、光が当たった時にちょっと黄みの粒子がふわっと見られるようなカラーです」と長嶋さん。

2トーンカラーも充実させた。LCは『アーバンブラウンルーフ』と『ソフトベージュルーフ』という2種類のルーフ色を用意。ラパンはソフトベージュのみをコーディネートした。

「ソフトベージュで合わせるとちょっと甘い雰囲気になる一方で、アーバンブラウンと合わせるとビターで渋くて、おしゃれな雰囲気になりますので、ルーフの遊び心からもかなり感じられると思います」

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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