ホンダ似のハイブリッド BYDシール 6 DM-i(1) EVだけじゃない 日本未売のハードへ迫る

公開 : 2025.09.17 19:05

電動サルーンのシールとは別物のシール 6 DM-i ホンダへ近いハイブリッド サイズはパサート級 極めて滑らかなパワートレインが強み 薄味な前輪駆動らしい操縦性 UK編集部が試乗

電動サルーンのシールとはまったくの別物

BMWアウディも、ステーションワゴンを作る価値はまだあると考えていることは明らか。バッテリーEVで躍進を続けるBYDも、同じようだ。ボルボは否定的なようだが。

BYDのモデル名には一貫性が薄く、今回試乗したシール 6 DM-iは、サルーンのシールとはまったくの別物。あちらは電動で後輪駆動だが、こちらはプラグイン・ハイブリッドの前輪駆動となっている。そう、BYDはEVだけではないのだ。

BYDシール 6 DM-i ツーリング・コンフォートライト(欧州仕様)
BYDシール 6 DM-i ツーリング・コンフォートライト(欧州仕様)

DM-iとは、デュアルモード・インテリジェントの略だそうで、電気モーターとガソリンエンジンで、知的に走ることを意図するのだろう。レンジエクステンダー用エンジンが載ったEV、というわけではない。

ホンダへ近いハイブリッド サイズはパサート

ブレード状の駆動用バッテリーはフロア下に敷き詰められ、容量は18.0kWh。駆動用モーターは196psあり、98psの4気筒エンジンは専ら発電機として機能する。またエンジンは、1速リダクションギアを介して、フロントタイヤを駆動することもできる。

システム総合での最高出力は、212psがうたわれる。ホンダのハイブリッドへ近いシステム、といえるかもしれない。

BYDシール 6 DM-i ツーリング・コンフォートライト(欧州仕様)
BYDシール 6 DM-i ツーリング・コンフォートライト(欧州仕様)

フォルクスワーゲン・グループが同クラスのモデルへ採用するシステムは、比較すると駆動用モーターのパワーが若干低く、エンジンは僅かにパワフル。6速ATを介して、同等の動力性能を叶えている。

スタイリングは無難な仕上がり。特にホイールが大きいわけでもなく、強いクセはないものの、印象には残りにくいだろう。ボディサイズは全長4850mm、全幅1890mm、全高1505mmで、新しいフォルクスワーゲン・パサートより60mmほど短い程度だ。

落ち着いた雰囲気の内装 製造品質も高い

インテリアも、少し前のBYDと異なる。ブラックの合成皮革で全体が包まれ、落ち着いた雰囲気でまとまっている。ダッシュボードにはテクスチャのあるゴムが用いられるなど、素材的な工夫が見られ、製造品質も高い。

センターコンソールやステアリングホイールには、実際に押せるハードスイッチが並ぶ。ただし、ライトやシートヒーターなど利用頻度の高い機能は、タッチモニター上で操作する。任意に項目を登録できるボタンもあるが、それらは割り当てられない。

BYDシール 6 DM-i ツーリング・コンフォートライト(欧州仕様)
BYDシール 6 DM-i ツーリング・コンフォートライト(欧州仕様)

タッチモニターのサイズは、廉価グレードは12.8インチで、上級グレードで15.6インチ。試乗車は後者だったが、大きすぎず圧迫感はなかった。他のBYDのように、縦横に向きは回転しない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

BYDシール 6 DM-iの前後関係

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