M440i/グレナディア/スーパースポーツ BMWの直6「B53」が動力源(1) 高性能の恩恵に預かる

公開 : 2025.10.03 19:05

BMWの直6「B53」が共通の動力源 直接響きを鑑賞できるM440i コンバーチブル 慣れが必要なグレナディア 飛躍的に進化した最新モーガン UK編集部が個性の強いトリオを乗り比べ

BMWのB53エンジンを動力源とする3台

なんと個性的な3台だろう。撮影で並走させていると、どのギアが選ばれているのが、つい気になってしまう。イネオス・グレナディアとモーガン・スーパースポーツは、恐らく3速。低い唸りが響いてくるから。

筆者が駆るBMW M440iは2速で、トーンが高め。鋭いアクセルレスポンスを活かし、構図が乱れないよう先導する必要がある。

オレンジのモーガン・スーパースポーツと、ブラックのBMW M440i xドライブ・コンバーチブル、カーキのイネオス・グレナディア・ステーションワゴン
オレンジのモーガン・スーパースポーツと、ブラックのBMW M440i xドライブ・コンバーチブル、カーキのイネオス・グレナディア・ステーションワゴン    マックス・エドレストン(Max Edleston)

このトリオでの比較は、友人との何気ない会話がきっかけだった。B53型と呼ばれるBMWの3.0L直列6気筒ターボエンジンは、2015年のF30型3シリーズで登場。N55型の進化系に当たり、1基のツインスクロールターボが組まれている。

ボディは大きく異なるが、いずれも動力源として優れた能力の恩恵に預かっている。高めのブースト圧と圧縮比で、7000rpmのレッドラインを持ち、スポーティなモデルとの相性が良い。BMW Z4と並んで開発された、5代目トヨタスープラにも載っている。

サウンドを直接鑑賞できるコンバーチブル

B53型は低域トルクが太く、高域まで力強く回り、普段使いでは優れた燃費で応えてくれる。筆者は以前にZ4 M40iへ乗っていたが、カタログ値を越える燃費はザラだった。遠回りをして走りを楽しんでも、10.0km/Lを割ることはなかったほど。

そんな傑作ユニットを積む、特徴的な3台の比較は面白いに違いない。ちなみにモジュラーユニットで、ミニが積む1.5L 3気筒エンジンや、2.0L 4気筒エンジンとも技術を共有。Mモデルに載るS58型ユニットとも、関係性は深い。

ブラックのBMW M440i xドライブ・コンバーチブルと、オレンジのモーガン・スーパースポーツ
ブラックのBMW M440i xドライブ・コンバーチブルと、オレンジのモーガン・スーパースポーツ    マックス・エドレストン(Max Edleston)

M440i コンバーチブルは、今回の基準になるクルマだろう。開け放てるソフトトップのおかげで、B53B30Bのサウンドをダイレクトに鑑賞できる。クーペのM440iより155kg重いが、2tは辛うじて切っている。

スターター・ジェネレーター(ISG)でマイルド・ハイブリッド化され、374psと50.9kg-mを発揮。0-100km/h加速を、4.9秒で処理する能力を秘める。

中央から突き出るBMWのシフトセレクター

スーパースポーツもオープンになるが、ハードトップ付き。ベースとなったのは2019年登場のプラス6で、新しいスタイリングのボディをアルミニウム製CXVシャシーに被せ、フロントへB58B30C型エンジンを積んでいる。

チューニングはひと世代前で339psだが、最大トルクは50.9kg-mと同値。発生回転域はM440iの1900rpmではなく、更に低い1520rpmと印象的だ。車重は1170kgしかなく、0-100km/h加速は3.9秒。空力特性の影響で、最高速はさほど伸びないが。

モーガン・スーパースポーツ(英国仕様)
モーガン・スーパースポーツ(英国仕様)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

伝統を愛する人は、トランスミッショントンネルから突き出る、BMWのシフトセレクターへ納得できないかもしれない。だが少量生産モデルとして、ここでのコスト削減が価格へ反映されているはず。筆者は、否定的には受け止めていない。

トランスミッションは、3台ともZF社製の8速AT。需要が低すぎ、モーガンの規模ではマニュアルは量産化できないという。スープラには、6速MTが設定されるが。

記事に関わった人々

  • 執筆

    スティーブン・ドビー

    Stephen Dobie

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

BMWの直6「B53」が動力源の前後関係

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