超小型EV発売? トヨタ『FT-Meコンセプト』の量産化を検討 英国政府から支援

公開 : 2025.10.17 06:45

トヨタは英国政府から助成金を得て、マイクロモビリティ『FT-Me』の量産化の可能性を検証します。欧州の小型四輪車カテゴリー『L6e』に準拠した都市部向けのEVで、現地企業と協力して研究開発を進めます。

最高速度45km/hのマイクロモビリティ

トヨタは英国政府からの1500万ポンド(約30億円)の支援を受け、コンセプトカー『FT-Me』の量産化を検討している。英国バーナストン工場で生産される可能性がある。

FT-Meは、欧州のL6e小型四輪車カテゴリーに準拠するマイクロモビリティで、最高出力は8ps、最高速度は45km/hに制限される。同カテゴリーにはシトロエン・アミやマイクロ・ミクロリーノなどが存在する。

トヨタFT-Meコンセプト
トヨタFT-Meコンセプト    トヨタ

3月に公開されたFT-Meコンセプトについて、トヨタのモビリティプロジェクト責任者スティン・ピーターズ氏は「都市部のドライバー向けの、広範なモビリティパズルにおける重要なピース」と説明している。

トヨタは今後、いわゆる「ラストマイル配送」に特化した商用車メーカーのエルム(Elm)、素材企業のSavcor、ダービー大学と共同で、FT-Meの量産化に向けて実用性などを検証する。

エルムの配送バン『エボルブ』の部品と、Savcorの太陽光パネル付きルーフを使用する。トヨタは以前、このルーフで1日あたり最大30kmの航続距離を賄えると発表していた。

FT-Meの研究開発は、欧州向けのカローラの生産を担っているダービーシャー州バーナストンの施設で行われる予定で、その後、ダービー大学がユーザーによる使用状況に関する研究を実施する。

英国法人のトヨタ・モーター・マニュファクチャリングUKのダリウシュ・ミコライチャク社長は、「今回の資金提供により、持続可能な都市モビリティへの需要増に対応する先進的なバッテリーEVの実現可能性に関する理解を深めることができます」と述べた。

この政府資金は、英国自動車産業のゼロ・エミッション車生産への移行を支援する25億ポンド(約5000億円)の助成金プログラム『Drive35』から拠出される。

Drive35の支援を受けるための条件の1つは、当該の企業またはコンソーシアムが少なくとも予算の50%を自己資金で賄うことだ。今回のケースでは、トヨタが大部分を担ったとみられる。助成金を管理する先進推進センターによれば、トヨタの小型四輪車プロジェクトへの総投資額は3030万ポンド(約60億円)に上るという。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

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