新生 トヨタC-HR+へ初試乗 航続最長608km 短いbZ4X もっと野心的でもいい?

公開 : 2025.10.16 19:05

トヨタ2番目のEV、クーペ風シルエットのC-HR+ 224psに74.0kWhのペアなら最長608km 快適なシートに広い荷室 安定感が高く運転しやすい 乗り心地も良好 UK編集部の第一印象は?

ひと回り小さいbZ4X クーペ風シルエット

毎月のように新しいバッテリーEVをリリースするメーカーもあるが、トヨタも着実に歩みを進めている。同社の十八番といえばハイブリッドながら、欧州でのEVの重要性は増す一方。幅広いラインナップの中で、2番目のEVとなるのがC-HR+だ。

日本と異なり、欧州では2代目C-HRが売られているが、「+」はまったくの別物。ひと回り短い、bZ4Xと表現しても過言ではない。

トヨタC-HR+ AWD(欧州仕様)
トヨタC-HR+ AWD(欧州仕様)

見た目は、シャープなライン構成や存在感の強いホイールアーチなど、若々しい雰囲気。クーペ・ハイライダーを略したモデル名の通り、クーペ風シルエットを持つ。

ボディサイドの面処理は立体的で、ダックテール・スポイラーが載るなど、凝ったスタイリングといえる。だが、際立つ個性まではないかもしれない。

224psに74.0kWhのペアなら最長608km

C-HR+で興味深いのが、bZ4Xより小型・安価にも関わらず、ひと回り大きい駆動用バッテリーを選べること。167psの駆動用モーターに57.7kWhのペアがエントリー仕様だが、224psに74.0kWhも選択でき、航続距離は最長608kmが主張される。

ただし、20インチ・ホイールでは563kmへ縮まる。342psのツインモーター版も選択できるが、航続距離はまだ明らかになっていない。急速充電は最大150kW。強みといえるのが10年間の保証で、英国では正規ディーラーで毎年整備を受ければ適用される。

トヨタC-HR+ AWD(欧州仕様)
トヨタC-HR+ AWD(欧州仕様)

bZ4Xとほぼ同じ内装 快適なシートに広い荷室

インテリアはbZ4Xとほぼ同じだが、グレーで統一され、印象は単調。ダッシュボードやドアパネルは、濃いグレーのラバーで覆われるが、高級感は高くない。

ステアリングホイールがやや小径で、メーター用モニターの位置が高めなのは、プジョーのiコクピットへ通じるレイアウト。それ以外の運転姿勢は自然だが、慣れは必要だろう。ドライブセレクターはダイヤル式で、操作しやすく感じた。

トヨタC-HR+ AWD(欧州仕様)
トヨタC-HR+ AWD(欧州仕様)

マイクロスウェード張りのシートは、座り心地が素晴らしい。後席側のフロアは高め。荷室容量は452Lとかなり広い。タッチモニターは反応が素早く、メニュー構造はシンプルで論理的。トヨタらしいシステムといえる。

安定感が高く運転しやすい 乗り心地も良好

試乗したのはツインモーター版だったが、相当に速いだけでなく速度調整しやすい。アクセルとブレーキの反応は直感的で、良く調和している。パドルで回生ブレーキの効きを選べるが、ワンペダルドライブには非対応。シングルモーターでも充分そうだ。

C-HR+はクルマ好きへ向けてデザインされ、運転の楽しさを提供すると、トヨタは主張する。確かに操縦性は漸進的で、安定感が高く、運転しやすい。しかし、ステアリングホイールへ伝わるフィードバックは薄く、フロントの反応が素早いわけではない。

トヨタC-HR+ AWD(欧州仕様)
トヨタC-HR+ AWD(欧州仕様)

カーブ出口でアクセルペダルを踏み込むと、積極的にパワーが展開されるのはフロント側。ブリヂストン・アレンザも、意欲的な操縦を受け止めるタイヤとはいい難い。

乗り心地は、適度に引き締まりつつしなやか。落ち付きがあり、快適性と操縦性とのバランスは好ましい。高速道路では、転がり音がやや目立った。電費は、今回の平均で4.8km/kWh。このクラスなら、もう少し伸びて欲しい。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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