未来への想いに共感 ウーズレー3.5hp ヴォワチュレット(2) 着実に走る126年前のクルマ

公開 : 2025.11.16 17:50

開発者の意欲と未来への想いに共感する

点火タイミングを少し早め、スロットルレバーは中央のまま、サイドブレーキを解除。長いシフトレバーを1速に入れれば、ジョギング程度のスピードまで加速できる。さらに2速へ押し込む。単気筒エンジンは、メトロノームのようなビートを刻む。

充分に速度を乗せるには、シフトレバーへ力を込め、重さでドライブベルトの摩擦を稼ぐ必要がある。3速で、クルマらしい速度に到達。エンジンの回転数は、1000rpmに達していないだろう。

ウーズレー3.5hp ヴォワチュレット(1899年式)
ウーズレー3.5hp ヴォワチュレット(1899年式)    マックス・エドレストン(Max Edleston)

サスペンションは、馬車へ準じたリーフスプリング。乗り心地は褒めにくい。ステアリングレバーの反応は曖昧。マンホールを通過しても、キックバックが伝わらないほど。それでも、安定性には唸ってしまう。数年後のモデルより、優れていたはず。

エンジンの時代が終わろうとしている2025年に、黎明期のクルマを走らせる。技術は未熟で、運転方法は不自然でも、開発者の意欲と未来への想いに共感し、気持ちが高ぶる。125年前、クルマへ懐疑的だった英国人の目からは、ウロコが落ち始めていた。

協力:英国自動車博物館、スティーブン・レイン氏、ロンドン・ブライトン・ベテランカー・ラン、ジョナサン・ギル氏

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    マックス・エドレストン

    Max Edleston

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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