セミオーダー・ボディのスポーツ ウーズレー・ホーネット・スペシャル(2) 誇り高く乗った父

公開 : 2025.10.26 17:50

父が初めて購入したクルマ、ホーネット・スペシャル ローリングシャシーにセミオーダー・ボディ パワフルな直6エンジン 戦前のクルマ文化を物語るウーズレーをUK編集部が振り返る

期待通りパワフルな直列6気筒エンジン

1932年式ウーズレー・ホーネット・スペシャルのオーナー、アシュトン夫妻によれば、当初はサイクルフェンダーだったとか。ミシュラン・ビバンダム・ホイールは、年代もののオリジナル。現在とはビード構造が異なる、当時のタイヤへ合わせた設計にある。

シートへ座ると、左の手元へ4速MTのシフトノブが伸びる。膨らみが2つあるダッシュボードには、運転席側へ時速100マイル(約161km/h)までのスピードメーターと、助手席側に6000rpmまで振られたタコメーター。ステアリングホイールは4スポークだ。

ウーズレー・ホーネット・スペシャル・スワロー・ボディ(1932年式/英国仕様)
ウーズレー・ホーネット・スペシャル・スワロー・ボディ(1932年式/英国仕様)
    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

チューニングされた6気筒エンジンは、期待通りパワフル。ハイレシオなステアリングラックで、カーブへ直感的に侵入できる。シフトパターンは1速が手前で、現代と逆だが動きは正確で扱いやすい。

フロントノーズが反応するまでワンテンポ遅れ、路面の凹凸でシャシーがしなり、安定性は高くない。ライレー・インプなどが存在した、80年前の基準でも。慣れも必要だ。

一体感が高く運転する自信を抱きやすい

続いて、デビッド・コーニー氏が所有する1933年式。インターナショナル社によるボディは、父が乗っていたホーネット・スペシャルと似ていて、実は真っ先に心が動いていた。塗装はホワイトで、ナンバーはAUV 668だ。

第二次大戦中に放置され、1980年代にグレートブリテン島南西のコーンウォール州で発見。彼は、12年前に購入している。エンジンは、1934年仕様としてブロックが再設計されたクロスフローで、吸排気のマニフォールドが逆に位置し、最高出力は僅かに高い。

ウーズレー・ホーネット・スペシャル・スワロー・ボディ(1932年式/英国仕様)
ウーズレー・ホーネット・スペシャル・スワロー・ボディ(1932年式/英国仕様)
    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

MTには、3速と4速にシンクロメッシュが追加されている。シャシーは、リアアクスル回りを強化。ラジエターを飾るトリムも、2本ラインへリフレッシュされた。

発進させると、先の2台とは明らかに印象が異なる。ステアリングの反応は良く、ボディの動きには締まりがある。クルマとの一体感が高く、運転する自信を抱きやすい。動力性能がほぼ変わらないのは、若干増えた車重の影響だろう。

流れの速い郊外の道を快適に流せる

アイボリーのもう1台も、メカニズム的にはコーニー氏の1933年式と概ね同じ。しかしボディのデザインが異なり、運転体験も僅かに違う。

AYN 325のナンバーで登録された、コルシカ社製ボディの1934年式を所有するのは、ピーター・ライト氏。1962年に購入し、1970年代半ばにレストアを開始したものの、子育てや仕事の合間の作業はゆっくり進み、2012年に仕上がったそうだ。

ウーズレー・ホーネット・スペシャル・コルシカ・ボディ(1934年式/英国仕様)
ウーズレー・ホーネット・スペシャル・コルシカ・ボディ(1934年式/英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

フロントフェンダーが長く尾を引く上品なスタイリングは、1930年代のスポーツカーの典型。後期型でMTはシンクロ付きだから、流れの速い郊外の一般道を快適に流せる。

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

ウーズレー・ホーネット・スペシャルの前後関係

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