【日産エルグランド】担当デザイナーが語る競合に負けない塊感と先進性のバランス!欧州車からも乗り換えてもらいたい #JMS2025

公開 : 2025.11.04 11:45

4代目となる新型日産エルグランドが、ジャパンモビリティショー2025に出展されました。そのデザインは前回お披露目された、『日産ハイパーツアラー』が元になっています。担当デザイナーに内田俊一がその狙いを聞きました。

元になったのは2年前のハイパーツアラー

約16年ぶりにフルモデルチェンジする大型ミニバン、『日産エルグランド』がジャパンモビリティショー(JMS)2025に出展された。そのデザインは前回のJMS2023にてお披露目された、『日産ハイパーツアラー』が元になっている。

日産グローバルデザイン本部第一プロダクトデザイン部プログラムデザインダイレクターの佐藤大さんは、長きにわたってフルモデルチェンジせずに生産が続けられてきたこのエルグランドのデザインに、どう取り組んだのだろうか。

前回お披露目されたハイパーツアラー(上)と今回デビューした新型エルグランド(下)。
前回お披露目されたハイパーツアラー(上)と今回デビューした新型エルグランド(下)。    日産自動車

「この間に、よりスペーシャスでラグジュアリーな価値観が生まれ、競合車はヨーロピアンで造形に動きがあったり、デコラティブな表現になってきました」と市場変化を分析。

そこで新型エルグランドはパッケージが大きく進化したこともあり、「より堂々とした感じにできることがわかりましたので、塊としてしっかり(競合に)負けないものにしながら、そこにどういうデザインを表現していくかを考えていきました」。

そして、「できるだけ初代や2代目が持っていた水平基調で長く見せるとともに、どっしりとしたデザインを目指しました。それと同時にシンプルですが、先進性をどれだけ感じさせられるかで勝負しています」と述べる。

強さはきちんと塊で見せる

特に目立つのはフロントまわりだろう。

「ボディカラーを下から上にグラデーションさせています。そして先進的なシグネチャーをエンブレムの上部にワイドに一文字に入れました。また、エルグランドらしい二段構えのヘッドライトも採用しています」

4代目新型エルグランドは2026年夏に発売が予定されている。
4代目新型エルグランドは2026年夏に発売が予定されている。    上野和秀

このフロントにはいろいろなアイディアがあったそうだ。

「例えば、あまりギラギラはしていないものの、黒でガチっと見せる案などです。ただ決め手になったのは、前回のJMSに出展したハイパーツアラーでした。これも私が担当したモデルで、プロポーションは全然違うのものの先進感があったので、この方向性で行こうという声が社内から挙がりました。

そこでフロント全体のボディカラーを多くしてモダンに見せながら、でも強さはきちんと塊で見せて、先進感や高級感はライトで感じさせています」

ちなみに他社にあるような、メッキを多用することは考えなかったのだろうか。

「先進感を出すために今のデザインにしました。メッキを多用すると少し古臭く感じるでしょう」

最後に佐藤さんがこのエルグランドでやりたかったことはどんなことかを聞いてみた。

「やはりライバルに戦える強い塊感と、モダンで先進的なデザインですね。プロポーションやシルエットはガチっと強いものにしておいて、細部はクリーンで先進的に見せることで、欧州車からも買い替えてもらえるような、そういうクルマにしたかったんです」

先代となる2代目エルグランドは全高とともにヒップポイントが低くなったことで、ライバルから見下ろされるというフィードバックがあったそうだ。そこで2026年夏に発売が予定されている4代目新型エルグランドは、全高が現行車より90mm以上高くなり、全幅は40mm近く広がり、競合と比較しひとまわり大きいくらいのサイズ感になっている。

しっかりと競合と差別化しつつ、欧州車からの乗り換えも視野に入れたデザインは見どころ満載だ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    内田俊一

    日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を生かしてデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。長距離試乗も得意であらゆるシーンでの試乗記執筆を心掛けている。クラシックカーの分野も得意で、日本クラシックカークラブ(CCCJ)会員でもある。現在、車検切れのルノー25バカラとルノー10を所有。
  • 撮影

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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