笑みを浮かべるパワフルさ BYD アット3 エボ(2) ソフト過ぎるサスにヘビー過ぎるステアリング 伸び代はある

公開 : 2026.03.11 18:10

フルモデルチェンジ級の改良を受けたアット3 シングルで312ps、ツインで449psへ上昇 広々車内に主張の強い内装 ソフトなサスにヘビーなステアリング 実航続430km UK編集部が試乗

廉価版でも312ps 笑みを浮かべる力強さ

新たに「エボ」を名乗る、BYD アット3。今回試乗した、廉価グレードで後輪駆動のデザインでも最高出力は312psあり、最大トルクは56.9kg-mもある。0-100km/h加速は5.5秒が主張され、その力強さは笑みを浮かべてしまうほど。

高速道路の追い越しは至って余裕で、交差点からの加速では、少し深めに右足を傾けただけでスタビリティ・コントロールが介入する。この電子制御で安定性は保たれるが、そこまでの馬力が必要なのか、疑問を抱くことも事実だ。

BYD アット3 エボ・デザイン(欧州仕様)
BYD アット3 エボ・デザイン(欧州仕様)

試乗できていないが、四輪駆動のエクセレンス・グレードは449psで、0-100km/h加速は3.9秒。フォルクスワーゲン・ゴルフ Rを上回る鋭さを誇る。

ソフト過ぎるサス ヘビー過ぎるステアリング

他方、サスペンションは馬力に対してソフト過ぎる。アクセルペダルを踏み込むと、ボディは後方へ明らかに傾く。カーブでも、外側へ傾く。安定性が低下するとトラクション・コントロールが効き、アタフタした状態へ陥ってしまう。

デフォルトのドライブモードでは、ステアリングは重めでレシオはスロー。センタリング性が強く、左折時などは想像より力を込めて切る必要がある。フィードバックも希薄。駐車時は、パワーアシストがないかのように重ステ。もう少しまとまりが欲しい。

BYD アット3 エボ・デザイン(欧州仕様)
BYD アット3 エボ・デザイン(欧州仕様)

スポーツ・モードを選ぶと、ステアリングは僅かに軽くなり、扱いやすさが向上する。しかしアクセルレスポンスが鋭くなり、望んだ以上のパワーを引き出しがち。少なくともブレーキは強力で、グッドイヤー・タイヤのグリップ力は高いが。

過剰なパワーは、運転の楽しさを高めることがある。だが、アット3 エボには当てはまりにくいかも。

乗り心地は概ねしなやか 実航続は430km

乗り心地は、ソフトなサスペンションのおかげで、概ねしなやか。舗装の剥がれた穴を通過しても、強い衝撃はなだめられる。反面、古いアスファルトなど細かな凹凸が目立つ区間では、小さな揺れが伝わってくる。

車内の静寂性は良好で、タイヤの転がり音やボディの風切り音は、このクラスの平均レベル。静かなパワートレインと相まって、高速道路でも穏やかに会話できる。

BYD アット3 エボ・デザイン(欧州仕様)
BYD アット3 エボ・デザイン(欧州仕様)

運転支援システムは、精度が今ひとつ。車線維持支援は、実際には逸脱していなくても警告することがあり、制限速度警告は標識を読み取れなくてもブザーを鳴らす。これらの機能はオフにできるが、タッチモニターのメニューを掘り下げる必要がある。

今回、気温20度のスペインで試乗した電費は、高速道路や市街地などを交えた平均で5.8km/kWh。1度の充電で430kmほど走れる計算になる。比較的好条件といえたが、このクラスのバッテリーEVとしては、まずまずの持久力といえるだろう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    チャーリー・マーティン

    Charlie Martin

    役職:編集アシスタント
    2022年よりAUTOCARに加わり、ニュースデスクの一員として、新車発表や業界イベントの報道において重要な役割を担っている。印刷版やオンライン版の記事を執筆し、暇さえあればフィアット・パンダ100HP の故障について愚痴をこぼしている。産業界や社会問題に関するテーマを得意とする。これまで運転した中で最高のクルマはアルピーヌ A110 GTだが、自分には手が出せない価格であることが唯一の不満。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

BYD アット3 エボの前後関係

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