ベースのオクタとどう違う? 『ディフェンダー』はいかにしてダカールを制したか(後編) D7X-Rはモンスター

公開 : 2026.01.28 17:10

他社との競争を求める

D7X-Rは、ちょっとしたモンスターだ。公道走行可能なストックカーではあるが、完全に競技仕様のマシンであり、ジャガーランドローバー(JLR)とプロドライブの綿密な共同開発の成果だ。

『アルティメット』部門の車両と同程度の出力を持つものの、重い市販車ベースのボディと控えめなサスペンションを持つディフェンダーは、ラリーステージでは到底太刀打ちできない。

W2RCストック・カテゴリーにワークス参戦した『ディフェンダー・ダカールD7X-R』
W2RCストック・カテゴリーにワークス参戦した『ディフェンダー・ダカールD7X-R』    ジャガー・ランドローバー

ストック部門では大健闘したが、対戦相手はプライベートのトヨタ日産の4台だった。それでもJLRは手を緩めない。3年間の参戦を約束しており、キャメロン氏は2029年のダカール50周年に合わせてさらに1年延長する意向だ。そして将来は、より多くのメーカーがストック部門に参入し、ディフェンダーは厳しい戦いを強いられることになると予想している。

「わたし達は競争を求めています。自分たちだけでレースをしていれば、いつだって勝てます。モータースポーツには競争が必要です。ビバークへの関心が高まっていることを考えると、数年後には他のメーカーもわたし達と競いたいと考えるようになるでしょう」

ディフェンダーの功績

対戦相手がトヨタや日産のプライベートエントリー勢ということもあり、ディフェンダー勢が新設のストック部門を制覇する可能性は高いと見られていた。そして、実際にステージ優勝を果たした。

意外だったのは、ダカール・ラリーのレジェンドであるステファン・ペテランセル選手がトップに立たなかったことだ。技術的問題により第1ステージで1時間近く遅れ、第8ステージではオルタネーターベルトが切れてわずかな望みも絶たれ、クラス4位に留まった。

W2RCストック・カテゴリーにワークス参戦したディフェンダー・ラリー・チーム
W2RCストック・カテゴリーにワークス参戦したディフェンダー・ラリー・チーム    ジャガー・ランドローバー

代わりに、26歳のロカス・バチュシュカ選手が圧倒的な強さを見せた。初めからリードを築き、大きなトラブルもなく、約4時間もの差をつけて自身のキャリア最大の勝利を手中に収めた。サラ・プライス選手も3ステージを制し、クラス2位に入った。

重要なのは、さまざまな機械的トラブルに見舞われながらも、3台のD7X-Rすべてがヤンブーのフィニッシュ地点にたどり着き、完走したことだ。

記事に関わった人々

  • 執筆

    ジェームス・アトウッド

    James Attwood

    役職:雑誌副編集長
    英国で毎週発行される印刷版の副編集長。自動車業界およびモータースポーツのジャーナリストとして20年以上の経験を持つ。2024年9月より現職に就き、業界の大物たちへのインタビューを定期的に行う一方、AUTOCARの特集記事や新セクションの指揮を執っている。特にモータースポーツに造詣が深く、クラブラリーからトップレベルの国際イベントまで、ありとあらゆるレースをカバーする。これまで運転した中で最高のクルマは、人生初の愛車でもあるプジョー206 1.4 GL。最近ではポルシェ・タイカンが印象に残った。
  • 翻訳

    林汰久也

    Takuya Hayashi

    1992年生まれ。幼少期から乗り物好き。不動産営業や記事制作代行といった職を経て、フリーランスとして記事を書くことに。2台のバイクとちょっとした模型、おもちゃ、ぬいぐるみに囲まれて生活している。出掛けるときに本は手放せず、毎日ゲームをしないと寝付きが悪い。イチゴ、トマト、イクラなど赤色の食べ物が大好物。仕事では「誰も傷つけない」「同年代のクルマ好きを増やす」をモットーにしている。

『ディフェンダー』はいかにしてダカールを制したかの前後関係

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