もう少しお値段が安ければ スズキeビターラ 61kWh(2) 辛口UK編集部の走りの評価は?

公開 : 2025.11.13 18:10

スズキが開発主導したアーバンクルーザーの兄弟、eビターラ 凛々しいボディ 2モーターの四輪駆動も 0-100km/h 8.7秒の活発さ 乗り心地良好 直感的で線形的な操舵感 UK編集部が試乗

0-100km/h 8.7秒の活発さ 速度調整しやすい

スズキ初の量産バッテリーEV、eビターラ。今回は、61.0kWhの駆動用バッテリーに174psのモーターが組み合わされた、前輪駆動を主に試乗した。

発進加速は、プジョーE−2008などステランティス・グループの競合モデルより活発。アクセルペダルの反応は漸進的で、速度調整しやすい。バイワイヤ制御のブレーキペダルの踏み心地もソリッドで、制動力の発生は自然といえる。

スズキeビターラ 61kWh ウルトラ(英国仕様)
スズキeビターラ 61kWh ウルトラ(英国仕様)

四輪駆動はツインモーターで183psと、最高出力は大きく違わないものの、最大トルクは11.5kg-mも太くなる。0-100km/h加速は、7.4秒となかなか鋭い。174psの前輪駆動でも8.7秒と、日常的な不満はないはずだが。

ただし、充電量が減ると加速力が弱くなる様子。技術進化を重ねる最近のEVで、このような制御は珍しい。

乗り心地は快適 直感的で線形的な操舵感

回生ブレーキの効きは複数から選択でき、いずれも感覚は掴みやすい。センターコンソールには、ワンペダル・モードを選べるボタンもある。アクセルペダルを放しただけでは、完全には停止しないけれど。

サスペンションはソフト側にあり、強い入力を受けると稀に減衰力が足りなく思えるものの、乗り心地は概ね良好。凹凸の大小を問わず、巧みに吸収してくれていた。高速域での静寂性を高めれば、一層快適になるだろう。

スズキeビターラ 61kWh ウルトラ(英国仕様)
スズキeビターラ 61kWh ウルトラ(英国仕様)

ステアリングの反応は、直感的で線形的。この辺りは、トヨタ車らしい特性といえる。とても自然に、意識することなく思い通りに操れる。グリップ力が高く、回頭性は想像以上にシャープ。シャシーのバランスが良い。

四輪駆動版は、ステアリングが前輪駆動より僅かに重め。乾燥した路面では、走りの違いを感じ取りにくかったが、冬場など滑りやすい路面では差が現れるのだろう。

充実の運転支援 振るわない電費と急速充電

運転支援システムは、車線維持支援にアダプティブ・クルーズコントロール、ブラインドスポットモニター、パーキングセンサーなどが標準。クルーズコントロールの動作は非常に滑らかで、ドライバー監視機能も過度に反応せず好ましい。

制限速度警告も備わるが、現実の流れを踏まえると少々煩わしく、タッチモニターを何度かタップしないとオフにはできない。車線維持支援は、反応が過敏に思えた。

スズキeビターラ 61kWh ウルトラ(英国仕様)
スズキeビターラ 61kWh ウルトラ(英国仕様)

電費は、四輪駆動版のカタログ値が5.9km/kWhと振るわず。複合的に走らせた今回の試乗では、4.8km/kWhに留まった。高速道路で急激に低下する印象だったため、市街地中心なら、もっと伸びるのかもしれない。

急速充電は、試したところ67kWがピークの様子。こちらも優秀とはいえない。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

スズキeビターラ 61kWhの前後関係

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