フロントライン「MGB」はロケッティア「マツダMX-5」の価格3倍 動力性能や製造品質は現代水準 ベスト・レストモッドな2台(2)

公開 : 2026.02.20 18:10

需要が増える一方のレストモッド NA型ロードスターにフォードの3.0L V6 1960年代のMGBにマツダの2.5L直4 古き良きクルマの魅力、純粋な喜びを享受できる 極上の2台をUK編集部が堪能

ビンテージな雰囲気で統一された車内

フロントラインが仕上げたMGB GTは、ロケッティアのNA型マツダMX-5(ロードスター)よりハイエンド。お値段は3倍ほど違うため、直接的な比較は成り立たない。同社は、レストモッドという言葉が生まれる前からMGBを再生させてきた。

今回のデモ車両は、17万ポンド(約3570万円)。MGBは1962年から1980年まで作られたクラシックカーだから、ロードスター以上の手間がかかる。ブリティッシュ・モーター・ヘリテージ社が提供する、真新しいボディシェルの利用が推奨されている。

手前からフロントラインMGB 2.5と、ロケッティア・マツダMX-5 Mk1
手前からフロントラインMGB 2.5と、ロケッティア・マツダMX-5 Mk1    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

建付けの良いドアを開けば、投じられた金額の違いは一目瞭然。ダッシュボードは美しい金属製で、クロームメッキも艶が深い。バケットシートは芸術品のよう。高速での事故時には身体がバラバラになりそうだが、ビンテージな雰囲気で統一されている。

カスタムメイドで、配色などは自由。デモ車両には、ブルートゥース・オーディオとエアコンも備わった。説明されなければ、オリジナルと間違いそうなほど調和している。

1120kgに293psで極上モノの運転体験

リアはリジッドアクスルのままだが、サスペンションはナイトロン社製。グレートブリテン島のアスファルトに続く不整を、瞬時になだめる。基本設計が60年以上前のシャシーは、剛性が高められている。ロールケージも組まれ、走りは意外にも現代的だ。

タイヤは穏やかなトレッドのブリヂストン・トランザだが、安定したマナーで走りへのめり込める。電動パワーステアリングが実装され、情報量は若干乏しいけれど。

フロントラインMGB 2.5(英国仕様)
フロントラインMGB 2.5(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

1120kgの車重に絶妙なFRの特性と、293psを発揮するエンジンが相まって、運転体験は極上モノ。アンチロールバーを少し弱め、グリップの低いクラシカルなタイヤを組み合わせれば、より滑沢になるだろう。

純粋な喜びを享受できるレストモッド

ロードスターの車内は、全面的にレザーで仕立てられ、新しいメーターが組まれ、ナルディ・ステアリングへ交換されている。基本的には1990年代の日本車然とした雰囲気だとしても、印象は悪くない。

シャシーの剛性感は、クーペのMGBほど高くないものの、パワステは油圧。指先でコミュニケーションを取りやすい。トヨタ86のように、アクセルの加減で、カーブの出口へ望み通りにフロントノーズを導ける。筆者の好みは、こちらの方かもしれない。

ロケッティア・マツダMX-5 Mk1(英国仕様)
ロケッティア・マツダMX-5 Mk1(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

古き良きクルマの魅力や、純粋な喜びを享受できる、今回の2台。それでいて、動力性能や製造品質は現代水準にある。パワーやグリップが、過剰なわけでもない。ロケッティアとフロントラインの顧客が、夢中になることにもうなずける。

排気ガス規制が厳しくなり、安全基準が高くなる中で、この手のレストモッドは間違いなく増えていくだろう。読者は、どんな内容をご希望だろうか。自分なら、FRのポルシェ944に水平対向6気筒を搭載したい。誰か、安価に叶えてくれないだろうか。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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