NA型ロードスターにフォードV6 MGB GTにマツダ直4 ベスト・レストモッドな2台(1) 極上の2台を堪能

公開 : 2026.02.20 18:05

需要が増える一方のレストモッド NA型ロードスターにフォードの3.0L V6 1960年代のMGBにマツダの2.5L直4 古き良きクルマの魅力、純粋な喜びを享受できる 極上の2台をUK編集部が堪能

古いクルマの魅力を引き出すレストモッド

手応え抜群のシフトレバーでリズムを刻み、バランス取りされたエンジンの美声を堪能する。直近の1年間に確かめた中で、最も興奮を誘うパワートレインだと断言できる。

片方のエンジンは、約20年前のジャガーSタイプから移植したもの。もう一方は、数世代前のマツダ6から引き抜いたもの。最近のクルマは面白みに欠ける、と感じる人は世界的に少なくない。往年の魅力を引き出す、レストモッド需要は当面減らないだろう。

左からロケッティア・マツダMX-5 Mk1と、フロントラインMGB 2.5
左からロケッティア・マツダMX-5 Mk1と、フロントラインMGB 2.5    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

クラシックカーが好きな億万長者の間では、シンガー社が手掛けるポルシェ911や、イーグル社が再生するジャガーEタイプが注目を集めている。だが、より民主的な要望へ応えているのが、英国のロケッティア社とフロントライン社だ。

フォードの3.0L V6を積んだNA型ロードスター

NA型とNB型の、マツダMX-5(ロードスター)のレストモッドを得意とするのが、ロケッティア。3.0L V6エンジンへの換装や、そのDIYキットの提供を主軸としながら、近年は車両全体のアップデートへ事業を広げている。

筆者の目前にあるのはデモ車両。V6エンジンが載り、内装が一新され、シャシーが補強され、マイスターR社製コイルオーバーサスが組まれている。お手持ちのロードスターと、4万4000ポンド(約924万円)を持ち込めば、同等に仕上げてもらえる。

ロケッティア・マツダMX-5 Mk1(英国仕様)
ロケッティア・マツダMX-5 Mk1(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

創業者のブルース・サウジー氏は、完成度の高いプラットフォームを理由に、ロードスターへ惹かれてきた。しかし、エンジンには不満があった。そこで目をつけたのが、Sタイプに載ったフォード由来の3.0L V6ユニットだった。

この開発には、ポルシェも関与したといわれる。ヘッドは、名門コスワースが提供していた。クランクシャフトは鍛造品で、ブロックはアルミ製で、重さはマツダの4気筒ユニットと大きく違わないという。

1050kgの小さなボディに280馬力以上

3.0L V6エンジンを積んだ、NA型ロードスターは精彩。7000rpmのレッドラインへ上昇するさなか、壮大な音響体験に包まれる。エアボックスはカーボンファイバー製で、マフラーのタイコは小さく、メカニカルでメタリックな咆哮が周囲を震わせる。

本来の最高出力は243psだが、ロケッティアの手で新しい吸排気系が組まれ、バランス取りされ、284psを得ている。独自のアダプターを介して接合されるのは、標準の5速MT。直6エンジンは直4より回転が滑らかで、強度は問題ないらしい。

ロケッティア・マツダMX-5 Mk1(英国仕様)
ロケッティア・マツダMX-5 Mk1(英国仕様)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

E46型BMW M3 CSLと印象は重なるが、セミATだったから、体験ではこちらが上かもしれない。もう少し長くてもいいが、ストロークの短いシフトレバーはコクコク動き、スロットルは電子制御で鋭く、無駄にシフトダウンしたくなる。

タイヤは、ミシュラン・パイロットスポーツ3。1050kgの小さなボディに280馬力以上と来れば、躍動感は半端ない。「1万2000rpmまで回るスポーツバイクは、最高に気持ちいいですよね。だから、痛快なV6エンジンを選んだんですよ」。サウジーが微笑む。

記事に関わった人々

  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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