レクサスと室屋義秀選手率いるエアレースチームが共創活動中! 2026年王者奪還のために行っている研究とは

公開 : 2026.03.21 07:05

レクサスとエアレースのウインウインな関係

そのわずかなタイムを詰めるために、昨年はウイングレットと呼ばれる主翼の両端部分の形状を改良。これにより最高速度はわずかに落ちるものの、ターンの精度と速度は向上。また、12Gにも及ぶターン時などでも瞬時に正確に読み取れるヘッドアップディスプレイも開発し、しかもタイトなコクピットに収まるようコンパクトに作られている。

それ以外にも、操縦桿やシートなどがレクサスによる技術協力で製作。前述のRZ600e Fスポーツ・パフォーマンスや、昨年発売された『LC500ピナクル』といったレクサスの特別仕様車は、室屋選手との技術交流から着想を得たエアロパーツを装着しているという。

会場には特別仕様車『レクサスRZ600e Fスポーツ・パフォーマンス』を展示。
会場には特別仕様車『レクサスRZ600e Fスポーツ・パフォーマンス』を展示。    篠原政明

こうしたウインウインの関係から、エアレースで蓄積された技術をフィードバックしたレクサス車は、今後も登場してくることは間違いなさそうだ。

表面の工夫による空気抵抗の研究

今年のエアレースXも、レギュレーションは基本的に昨年と変わらない。そのため(会場に展示されている)昨年の機体をブラッシュアップして参戦する予定だ。ウイングレット形状などは昨年と同様のようだが、今年は『エアロ・テクスチャー・プロジェクト』(ATP)と呼ばれる新たな技術を開発中だ。

これは室屋選手がトークショーで話してしまい、中江氏からストップがかかったので詳しい内容は明かされていないが、中江氏によると「形ではなく表面の工夫」による空気抵抗の研究だという。

RZ600e Fスポーツ・パフォーマンスは、室屋選手との技術交流から着想を得たエアロパーツを装着。
RZ600e Fスポーツ・パフォーマンスは、室屋選手との技術交流から着想を得たエアロパーツを装着。    篠原政明

それはつまり、ゴルフボールのディンプルや一世を風靡した『鮫肌水着』のように、機体表面に微細な加工を加えるものと思われる。これに関しては、実戦への投入を楽しみに待つことにしよう。

また、機体だけでなく、室屋選手の筋肉をどう使うかも研究されている。既にシートなどで上半身のホールドは向上しているが、ペダルを操作する下肢の状態を解析し、座り方などの解析が進められている。人が反応して動くまでには0.2秒かかるといわれているが、これを0.1秒に詰めればそれだけでタイムが向上する。そのための筋肉の使い方まで研究されているのだ。

「今年は王座奪還」を掲げる室屋選手

2026年のエアレースXは、第1戦が6月28日、第2戦が7月19日、第3戦が8月26日、第4戦(最終戦)が9月13日と、タイトなスケジュールだ。室屋選手によれば「全戦で表彰台に上がり、最低でも2勝はしないとチャンピオンになれない」という。「まずは第1戦までに確実に機体を仕上げて臨みたい」と中江氏も語る。

「今年は王座奪還」を掲げる室屋選手。そして「もてる技術をふんだんに投入して、勝ってこそのレクサス」と語る中江氏。そんなレクサス・パスファインダー・レーシングに、多くのギャラリーが熱い期待を寄せていた。

「今年は王座奪還」を掲げる室屋選手(左)とレクサスの中江氏。
「今年は王座奪還」を掲げる室屋選手(左)とレクサスの中江氏。    篠原政明

なお、室屋選手と中江氏のトークショーは、3月22日にも開催される予定だ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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