350eも充分速い 小改良 レクサスRZ(2) 一体感へ効果的な疑似MT 最大の強みは快適さ

公開 : 2025.09.16 19:10

Fスポーツが追加されたRZ 前輪駆動の350eは1充電で568km 一体感へ効果的な疑似MT ステアバイワイヤも導入 驚くほどの快適性 上品なSUVをお望みならモデルYより好印象 UK編集部が試乗

上品なSUVを望むならモデルYより好印象

2025年仕様としてアップデートを受けた、レクサスRZ。シングルモーターの350eには、224psと27.3kg-mが与えられ、0-100km/h加速は7.5秒。車重が2.2t近いSUVとして、不満ないダッシュ力を秘める。

ツインモーターの500eは合計381psで、4.4秒で100km/hへ到達する。とはいえ、より長い航続距離を得られる350eでも遅くなく、この加速力を望む人は限られるだろう。

レクサスRZ 500e(欧州仕様)
レクサスRZ 500e(欧州仕様)

同じくツインモーターの550e Fスポーツは407psへ上昇するが、0-100km/h加速は500eと同じ。MTを模した変速を楽しめるシフトパドルと、ステアバイワイヤ・システムが与えられる。

いずれもパワーデリバリーは滑らか。上品なSUVを望む向きには、テスラ・モデルYより好印象なはず。

一体感へ効果的な疑似MT 驚くほどの快適性

550e Fスポーツの疑似マニュアルは、エンジン音を模したサウンドが車内へ響き、パドルを弾くとギアを変えたように音質も変化する。デジタル的なものだから当然だが、変速はかなりクイック。レブリミッターも備わる。

これは、クルマとの一体感を高めるのへ効果的に思えた。しかし、サウンドの訴求力は高くない。ヒョンデアイオニック5 Nも同等の機能を備えるが、あちらとは異なり、ドライバーを鼓舞するほどではないかも。

レクサスRZ 500e(欧州仕様)
レクサスRZ 500e(欧州仕様)

コーナリングは、プレミアムSUVらしく上質。前輪駆動の350eは、素直な操縦性が心地良い。アダプティブダンパーは組まれていないが、デフォルトのドライブモードを選んでいれば、乗り心地も驚くほど優れる。18インチ・ホイールなら、一層快適だ。

ホイールがインチアップする550e Fスポーツでは、サスペンションも引き締まる。路面の凹凸を拾いがちだが、座り心地の良いシートが快適性を保ってくれる。

ニュートラルな旋回 ステアバイワイヤは慣れが必要

他方、エキサイティングな走りを披露するわけではない。四輪駆動のツインモーター版は、レクサスがダイレクト4と呼ぶシステムを実装するが、これは加減速時のボディの傾きを駆動用モーターのパワーで抑制するもの。マナーの改善が主な目的にある。

カーブでは前後のモーター間でトルク調整されるが、基本的にはフロント側の方が強力だから、旋回は常にニュートラル。もっとも、レクサスは走りのダイナミックさを強調しておらず、狙い通りといえそうだ。

レクサスRZ 550e  Fスポーツ(欧州仕様)
レクサスRZ 550e Fスポーツ(欧州仕様)

グリップ力は素晴らしく、ステアリングホイールの重み付けも丁度良い。運転する安心感や充足感は、低くない。

550e Fスポーツのステアバイワイヤは可変レシオで、ロックトゥロックは1回転以下の200度。最初は不自然かもしれないが、慣れれば高精度なステアリングへ自信を抱ける。通常のRZよりコーナリングは漸進的で正確。スポーティな印象は、より高い。

記事に関わった人々

  • 執筆

    マレー・スカリオン

    Murray Scullion

    役職:デジタル編集者
    10年以上ジャーナリストとして活動し、雑誌、新聞、ウェブサイトに寄稿してきた。現在はオンライン版AUTOCARの編集者を務めている。オースチンやフェラーリなど、1万円から1億円まで多数のクルマをレビューしてきた。F1のスター選手へのインタビュー経験もある。これまで運転した中で最高のクルマは、学生時代に買った初代マツダMX-5(ロードスター)。巨大なジャガーXJ220も大好き。
  • 執筆

    イリヤ・バプラート

    Illya Verpraet

    役職:ロードテスター
    ベルギー出身。AUTOCARのロードテスターとして、小型車からスーパーカーまであらゆるクルマを運転し、レビューや比較テストを執筆する。いつも巻尺を振り回し、徹底的な調査を行う。クルマの真価を見極め、他人が見逃すような欠点を見つけることも得意だ。自動車業界関連の出版物の編集経験を経て、2021年に AUTOCAR に移籍。これまで運転した中で最高のクルマは、つい最近までトヨタGR86だったが、今はE28世代のBMW M5に惚れている。
  • 執筆

    ジャック・ウォリック

    Jack Warrick

    役職:常勤ライター
    クルマだけでなく、英国のローカルニュースとスポーツ報道にも精通し、これまで出版物、ラジオ、テレビなど、さまざまなコンテンツ制作に携わってきた。フォルクスワーゲン・グループの小売業者向けニュースウェブサイトの編集者を務めた後、2021年にAUTOCARに移籍。現在はその幅広い経験と知識を活かし、主にニュース執筆やSNSの運営を担当している。これまで運転した中で最高のクルマは、トヨタGRヤリス。一番のお気に入りだ。
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

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