【空気充填が要らない次世代タイヤ】ブリヂストンが久留米市とともに『エアフリー』の実証実験中 乗り心地は想像以上

公開 : 2026.05.18 16:45

なぜ、久留米市で実証実験を?

福岡県の久留米市は、ブリヂストン創業の地だ。『地域社会のモビリティを支える』というエアフリーのミッションに久留米市が共感し、ブリヂストンの事業開発の促進・進展が久留米市の振興・発展にも寄与することから、今回の連携が実現した。

既に今年4月10~22日に同市の世界つつじセンターで実証実験が行われており、今回は石橋文化センターで実施。ここは1956年にブリヂストンの創業者である石橋正二郎氏が久留米市に寄贈した総合文化施設だ。約3万平方メートルの広大な敷地に久留米市美術館や石橋正二郎記念館など、さまざまな施設があるのだが、取材時は広大な庭園にバラが咲き誇っていた。

今回の実証実験では、福岡県久留米市にある石橋文化センターの周遊ルートを走行。
今回の実証実験では、福岡県久留米市にある石橋文化センターの周遊ルートを走行。    篠原政明

今回の実証実験は公道ではなく、センター内の周遊ルートで行われた。取材会では、原口市長と田村氏が挨拶の後、実際にエアフリーを装着した車両で試乗。市長は「乗り心地は普通のタイヤと変わらない。ぜひ皆さんも乗ってみてください!」とご満悦だった。

さすがに運転は叶わなかったが、筆者も同乗することができた。車両はヤマハ製の電動カートタイプのグリーンスローモビリティで、ゴルフ用カートの座席を増やしたものといっていいだろう。コースは公園の周回路的な道だから、さほどフラットではない。

人も歩いているので、せいぜい速度は15km/hくらいまでしか出していないが、黙って乗せられたら普通のタイヤだと思ってしまう。乗り心地、ノイズなどは今回の試乗レベルでは空気入りタイヤとの違いは感じられず、思った以上に快適だった。

エアフリーのこれからと月面探査車用タイヤ

ブリヂストンでは、2030年にはサステナビリティを中核に社会課題を解決することを目指している。それはつまり、前述したような地域の問題を、エアフリーが提供する安心・安全とサステナブルな技術で解消し、『地域を支えるモビリティ』の実現を目指すということ。

そのために、今後も公道実証や社会実装を通じてさらなる技術を進化させ、検証した提供価値に基づくターゲットビジネスモデルを検討していく。

エアフリーは、月面探査車用タイヤとしても開発されている。
エアフリーは、月面探査車用タイヤとしても開発されている。    篠原政明

また、現在は低速走行の小型車両を対象としているエアフリーだが、将来的にはより大きなクルマや高速走行も可能なものを目指し、開発が進められている。

いずれにしても製品化されるまではまだしばらくは時間がかかりそうだが、サステナビリティを考えると、製品化しても売りきりではなくサブスクリプション形式で販売し、回収までを検討したいそうだ。

さらに、エアフリーはもうひとつ、月面探査車用タイヤとしても開発されている。真空で極低温など過酷な環境の宇宙ではゴムや樹脂のタイヤは使えないため、タイヤ全体を特殊な金属製とし、もちろん空気は充填しない。

エアフリーの技術は地球上の生活を支えるだけでなく、宇宙開発にも活用されているのだ。

記事に関わった人々

  • 執筆 / 撮影

    篠原政明

    Masaaki Shinohara

    1958年生まれ。某自動車雑誌出版社をめでたく? 卒業し、フリーランスのライター&エディターに。この業界に永くいるおかげで、現在は消滅したものを含めて、日本に導入されている全ブランドのクルマに乗ってきた……はず。クルマ以外の乗りものもけっこう好きで、飛行機や鉄道、さらには軍事モノにも興味があるらしい。RJC会員。

関連テーマ

おすすめ記事

 

人気記事