「手頃な価格に感動を加える」 フィアット・トポリーノがバチカン市国で正式採用(後編) 小さいがゆえの利点と欠点
公開 : 2026.08.13 17:10
ローマ市内では欠点も……
オリヴィエ・フランソワCEOは、「トポリーノとトリスはここにすっかり馴染んでいます」と語る。実は、同氏はこの地で史上初のライブコンサートを企画するなど、バチカンとかなり深い関わりを持つ人物だ。
「これらは権力を誇示するために設計されたクルマではありません。奉仕するために作られた、小さくてシンプルな機械です。時として自動車という概念に伴う傲慢さは、この2台にはないのです」

市販のトポリーノのほとんどは、バチカンの静かで滑らかな道路を走ることはなく、ローマのような賑やかな都市部で利用されることになる。そこで、しぶしぶながら、筆者も城壁に囲まれたバチカンの静寂を後にして、イタリアの首都の街路へと踏み出した。
バチカンの門をくぐった瞬間からその違いは明らかだ。3列に並んだクルマがどういうわけか2車線を埋め尽くし、オートバイが四方八方から走り抜けるという、まさにカオス状態である。街並みをじっくりと味わう余裕はほとんどない。
ここで、トポリーノの小さなサイズが利点にも欠点にもなる。信じられないほど取り回しがよく、大型車が減速するような駐車車両の間をすいすいと通り抜けることができるが、バイクのように隙間を縫って進むことはできず、道路上のあらゆるものに圧倒されてしまう。
ぴったりハマれば最高の1台
最高出力がたったの8psしかないということも忘れてはならない。ドアミラーは小さく、バックミラーはないため、後方から迫ってくるものを確認するのも難しい。また、パワーステアリングがないため、運転はかなりの重労働だ。特に猛暑日はなおさらで、唯一の涼はトポリーノに付属のハンディ扇風機だけ。そして、その効き目は……疑問が残る。
とはいえ、ローマの狭く曲がりくねった道や細い路地には、このクルマは抜群に合っている。そして、街ゆく人々はトポリーノを気に入っているようだ。筆者と取材班が写真を撮るために、交通を妨げるほど低速で2台を並走させたにもかかわらず、クラクションを鳴らしたり、無理やり追い越そうとしたりする人はほとんどいなかった。

これこそがトポリーノをはじめとするマイクロモビリティの醍醐味である。決して万人向けではなく、どんな場面でも適しているわけではないが、特定の能力と自分のニーズが合致すれば素晴らしい乗り物となる。もちろん、そのせいで英国では販売が難しい。
英国では運転するのに普通免許が必要であり(イタリアではL6車両は14歳から運転できる)、左ハンドル車のみという点も人々の購入意欲を削ぐ可能性があるからだ。しかし、もしバチカン周辺を運転する機会が巡ってきたなら、その任務にぴったりの1台がここにある。





















