【休日クラシック・ポルシェ・アーカイブ #39】1984年ポルシェ911カレラ3.2 4×4パリ・ダカール/タイプ953(後編)「オフロードで圧倒的な速さを見せつける」

公開 : 2026.09.27 09:11

世界的な人気モデルとして支持され、サーキットでも数えきれぬ栄光の記録を刻んできたポルシェ。日曜日の午前9時11分に公開する、そんなポルシェの足跡を膨大なアーカイブと共に振り返る連載です。#39は『1984年ポルシェ911カレラ3.2 4×4パリ・ダカール(タイプ953)』の後編です。

軽量化が施されたボディ

953のボディは、市販911カレラのボディシェルを利用する。パリ・ダカール・ラリーの過酷な状況に対応するため、ボディシェル、特にサスペンションやエンジン/トランスミッションの取り付け部周辺は大幅に補強された。

このほかの変更点としては、特注のスチール製ロールケージの装着や、厚さ10mmのケブラー製パネルによる広範囲をカバーするボディ・アンダーガードが装着された。

953は、大型のクロスカントリー車両に比べて数100kgも軽量で、リアエンジンが生み出す圧倒的なトラクションにより、圧倒的な速さを見せつけ優勝を果たした。
953は、大型のクロスカントリー車両に比べて数100kgも軽量で、リアエンジンが生み出す圧倒的なトラクションにより、圧倒的な速さを見せつけ優勝を果たした。    ポルシェ

市販911カレラ3.2の80リッター燃料タンクに代わり、フロントフード下に120リッターの燃料タンクを設置。さらに砂漠で長距離移動するため、後席部分にも150リッターの燃料タンクが増設された。助手席後方のスペースには、スペアタイヤやスペアパーツ、工具を積載する。

インテリアはダッシュボードや5連メーターといった、911の基本デザインはそのまま残された。コンソールにはデフロック用スイッチ、ブレーキバランス調整用ノブ、各種追加メーター、ヒューズボックス、トリップメーターなどが追加されている。

車重は市販の911カレラ3.2より50kg重い1210kg

車載された装備品は、スペアタイヤ2本、油圧ジャッキ、エアコンプレッサー、工具セット、飲料水10リットル、シグナルミラー、コンパス、サバイバル毛布、ターバン、信号用ロケット弾、発煙筒、寝袋、通常用および緊急用無線機、ヘビやサソリの毒に対する血清を含む救急セット、牽引ロープ、シャベルだった。

もちろん軽量化もぬかりなく、ボディパネルの大部分はスチールではなくグラスファイバーに変更。ドア、フロントリッド、ルーフ、エンジンカバー、そして張り出したフェンダーはすべてポリカーボネート製で、軽量化のために多数の穴が開けられたバンパーも同様の素材だった。

953は現在も実働状態に保たれ、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードや、雪上イベントなどに姿を見せている。
953は現在も実働状態に保たれ、グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピードや、雪上イベントなどに姿を見せている。    ポルシェ

サイドウインドウやリアウインドウも、通常のガラスではなくポリカーボネート製に置き換えられた。リアウインドウは取り外し可能な構造になっており、車内に搭載したスペアパーツにクルーが容易にアクセスできるようになっていた。

このような軽量化が施された953は、ヘビーデューティなラリー用装備やボディ補強が施されたため、車重は市販の911カレラ3.2より50kg重い1210kgに達していた。

最高速度は、911カレラ3.2の245km/hに対し、砂漠を始めとするオフロードの使用が主となるため193km/hに低められていた。

記事に関わった人々

  • 執筆

    上野和秀

    Kazuhide Ueno

    1955年生まれ。気が付けば干支6ラップ目に突入。ネコ・パブリッシングでスクーデリア編集長を務め、のちにカー・マガジン編集委員を担当。現在はフリーランスのモーター・ジャーナリスト/エディター。1950〜60年代のクラシック・フェラーリとアバルトが得意。個人的にもアバルトを常にガレージに収め、現在はフィアット・アバルトOT1300/124で遊んでいる。

関連テーマ

おすすめ記事