【現役デザイナーの眼:スズキ・ジムニーノマド】全体から伝わる本格SUVらしい機能美 ブランドイメージを築く重要な役目

公開 : 2026.08.18 11:45

ジムニーらしさをブランド全体へ展開

ジムニーは1970年の登場以来、ラダーフレームを採用した本格クロスカントリー4WDという基本構造を守りながら進化を続けてきました。そのジムニーをボディ延長によって5ドア化することは、下手をすれば従来のファンから受け入れられない可能性もあるでしょう。しかし、実車を見るとジムニーらしさはまったく損なわれておらず、多くの人が納得したのではないでしょうか。

それだけジムニーのデザインは完成度が高く、強いアイコン性を備えているということです。スズキは、そのデザイン資産を他の車種にも展開しています。軽SUVの『ハスラー』、アウトドアテイストを強めたスーパーハイトワゴン『スペーシアギア』、そして普通車の『クロスビー』です。

ベース車より大きく拡幅されたトレッドのおかげで、全長を伸ばしても抜群のスタンスを感じさせます。ボディから大きくはみ出したタイヤは、軽自動車ベースのボディならではです。
ベース車より大きく拡幅されたトレッドのおかげで、全長を伸ばしても抜群のスタンスを感じさせます。ボディから大きくはみ出したタイヤは、軽自動車ベースのボディならではです。    スズキ

これらのモデルはいずれも、丸形ヘッドランプとグリルを黒色パネルで一括りにした、共通のフロントデザインを採用。この手法は、ラングラーのイメージをブランド全体へ展開している、ジープにも通じるデザイン戦略です。

『スズキのSUVといえばこの顔』とひと目で認識できるブランドイメージを築いていることも、ジムニーが担う重要な役割のひとつです。その意味でもノマドは、単なる5ドアモデルではなく、ジムニーというブランドの価値をさらに高める存在になったと言えるでしょう。

記事に関わった人々

  • 執筆

    渕野健太郎

    Kentaro Fuchino

    プロダクトデザイナー兼カーデザインジャーナリスト。福岡県出身。日本大学芸術学部卒業後、富士重工業株式会社(現、株式会社SUBARU)にカーデザイナーとして入社。約20年の間に様々な車をデザインする中で、車と社会との関わりをより意識するようになる。主観的になりがちなカーデザインを分かりやすく解説、時には問題定義、さらにはデザイン提案まで行うマルチプレイヤーを目指している。
  • 編集

    平井大介

    Daisuke Hirai

    1973年生まれ。1997年にネコ・パブリッシングに新卒で入社し、カー・マガジン、ROSSO、SCUDERIA、ティーポなど、自動車趣味人のための雑誌、ムック編集を長年担当。ROSSOでは約3年、SCUDERIAは約13年編集長を務める。2024年8月1日より移籍し、AUTOCAR JAPANの編集長に就任。左ハンドル+マニュアルのイタリア車しか買ったことのない、偏ったクルマ趣味の持ち主。

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