アストン マーティン・ハルフォード・スペシャル(2) 聖地のバンクを包むスーパーチャージャーの唸り 10年に及ぶ作業で復元

公開 : 2026.10.11 17:50

アイドリングは不安定なツインカムエンジン

アクセルペダルは中央にあり、クラッチペダルと距離が近く、必然的に靴を脱ぐ必要がある。空気圧を高めてガソリンを送り、点火スイッチを入れクランク棒を回すと、轟音とともに1.5L直6エンジンは回転を始めた。

アイドリングは不安定で、アクセルペダルで絶えずご機嫌を伺う必要がある。ブレーキペダルは1番右側で、フロント用。ボディサイドには驚くほど強力に効く、四輪用のブレーキレバーが突き出ている。

アストン マーティン・ハルフォード・スペシャル(1923年/ワンオフマシン)
アストン マーティン・ハルフォード・スペシャル(1923年/ワンオフマシン)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

シフトゲートは、1速と2速が外側で、3速と4速は内側。ストロークが短く、素早くギアを切り替えられる。2速でも、現状のブルックランズでは充分以上の速度に届く。高域を保ってバンクを駆け上るさなか、ステアリングホイールに力を込める。

100年前の体験を、ほんの僅かだけ垣間見る

往年のレースでは、ステアリングから手を離して疾走できた、時速120マイル(約193km/h)がバンクカーブで目指された。そんな理想的な条件に、今残るコースはない。それでも、ハルフォードが設計したツインカムエンジンは素晴らしい。

戦前のユニットとしては珍しく、高域でしっかり本領が発揮される。トルクも太い。ギアとスーパーチャージャーの唸りに、殆ど消音されないエグゾーストの咆哮が、聖地といえるコースを包む真夏の空気を震わせる。

アストン マーティン・ハルフォード・スペシャル(1923年/ワンオフマシン)
アストン マーティン・ハルフォード・スペシャル(1923年/ワンオフマシン)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

100年前のグランプリ・ドライバーは、尋常ではない精神力と肉体力の持ち主だったことは間違いない。ハルフォードの体験を、ほんの僅かだけ垣間見れたような気がする。1台限りのアストン マーティンをバンクカーブで走らせる、またとない機会のお陰で。

協力:ブルックランズ博物館、エキュリー・ベルテッリ社、アラン・ウィン氏、ジョナサン・ギル氏

アストン マーティン・ハルフォード・スペシャル(1923年/ワンオフマシン)のスペック

英国価格:−ポンド(新車時)/30万ポンド(約6240万円)以上(現在)
生産数:1台
全長:3700mm
全幅:1600mm
全高:−mm
最高速度:177km/h(予想)
0-97km/h加速:−秒
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:745kg
パワートレイン:直列6気筒1499cc 自然吸気 DOHC
使用燃料:ガソリン
最高出力:121ps
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:4速マニュアル/後輪駆動

アストン マーティン・ハルフォード・スペシャル(1923年/ワンオフマシン)
アストン マーティン・ハルフォード・スペシャル(1923年/ワンオフマシン)    ジャック・ハリソン(Jack Harrison)

記事に関わった人々

  • 執筆

    サイモン・ハックナル

    Simon Hucknall

    英国編集部ライター
  • 撮影

    ジャック・ハリソン

    JACK HARRISON

    英国編集部フォトグラファー
  • 翻訳

    中嶋けんじ

    Kenji Nakajima

    1976年生まれ。地方私立大学の広報室を担当後、重度のクルマ好きが高じて脱サラ。フリーの翻訳家としてAUTOCAR JAPANの海外記事を担当することに。目下の夢は、トリノやサンタアガタ、モデナをレンタカーで気ままに探訪すること。おっちょこちょいが泣き所。

アストン マーティン・ハルフォード・スペシャルの前後関係

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