マツダ AWDラインナップ雪上試乗会

公開 : 2015.12.28 23:40  更新 : 2017.05.29 19:13

  • モード切替えをAWD車に設けないのがマツダの考え方。(写真・前田恵介)

まずは、剣淵試験場内で行われた試乗体験。最初に訪れたのは急登坂路と呼ばれるコースで、CX-5の2WDとAWDの両モデルを用い、登り坂の途中から発進を行う。もちろん脚元にはスタッドレスタイヤが装着されているが、2WDでは角度のきつい登り坂で一旦停車すると、右足に最新の注意を払いつつ力を込めても、スリップするばかりで前に進まず再発進ができない。いっぽうAWDでは本当に何事もなく、ただ右足に力をいれるだけでスタートできてしまう。極端な話、雪上であることを忘れさせてしまうほど、普段と変わらない感覚で運転できるのだ。

そして、この “普段と変わらない” 運転感覚こそ、i-アクティブAWDが目指している部分である。一般路を走るほとんどのドライバーにとって、意図的にタイヤを滑らせるということはないわけで、予期せぬスリップに対してドライバーは恐怖心を抱く。そこでマツダは “少しも滑らせない” ことをターゲットにi-アクティブAWDを開発している。

フロントに配置されたエンジンとトランスミッションから、パワーテイクオフと呼ばれるギアユニットで動力を引き出し、プロペラシャフトとリアデフを介してタイヤを駆動するという点では一般的なAWDと同じ。しかしi-アクティブAWDでは他社に比べて多くのセンサーが備えられ、路面状況や気象状況、ドライバーの走行意図などを予測する。通常走行時はフロントタイヤを中心に駆動力を伝達し、状況に応じて必要な駆動力を後輪にも配分。悪条件下では前後ともほぼ同じ、直結4WDとして優れた走破性を発揮するという。

路面ミューが低い雪上路でも特別な意識をすることなく、普段の舗装路と同じように思い通りにクルマを走らせることができる。そんなi-アクティブAWDのメリットは、スラローム試乗でさらに明らかになった。パイロンによって設定されたスラロームコースを、アクセラの2WDとAWD車で比較試乗。実際は2WD車でも想像以上に走れてしまうのだが、AWD車では発進時の動きだしから加速が違う。先ほどの登坂路と同様、しっかりと路面(雪面)を4つのタイヤが捉えて車体を押し出していく感覚がはっきりとわかる。滑りやすい路面では、i-アクティブAWDのコントロールモジュールがフル回転して前後輪のトルク配分を計算しているのだが、その頻度は1秒間に200回もの演算を行っているとのこと。

スリップを感知して…ではなく、スリップを防ぐために後輪へも駆動力を配分するのがi-アクティブAWDだから、スラローム路面での安定感は際立っている。スラロームコースでペースを上げると、2WD車では車体が外へ外へと行こうとする。このままでは大きく膨らんでしまうから、あわててステアリングをさらに切り込む…という、雪上路でよくある行為を意図的に行ってみると、2WD車ではどんどんと狙ったコースから外れてしまう。

そんな条件下でも、AWD車であればステアリングにはタイヤを通じて路面の手応えが伝わり続け、行きたい方向に行くことができる。これはi-アクティブAWDが後輪への駆動力を最適配分するだけでなく、 “前輪スリップ予兆検知システム” を備えていることが大きい。これにより路面の状況に関わらず高い走破性や安定性が得られ、フロントタイヤはしっかりと路面を捉え続ける。滑りやすい雪面でも、ステアリングの動きに呼応してクルマの鼻先が軽くコントロールしやすいため、思わず自分の運転がうまくなったと思ってしまうほどだ。

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