ジャガー・ランドローバー雪上試乗会

公開 : 2016.02.02 23:40  更新 : 2022.12.12 21:29

  • 4駆を手に入れたF-タイプ。オン・デマンドAWDにより前輪もこのように雪を掻く。

  • トラクション・コントロールOFF(!)を断行し、電子制御の有難みを痛感。

私の後ろを緑色のスズキジムニーが追いかけてくる。ブロンドとブルネット、ガイジンの女性がふたり乗っている。「わ」ナンバーだったから、最近増えているスキー旅行者であろう。その時、筆者が思ったのはお正月映画「007スペクター」であった。もちろん、ジムニーに乗るブロンド美女が助手席からハコ乗りして発砲してくる、というようなことは現実には起こらない。レンジローバーはあっけなく目的地に到着したのだった。

主役であるF-タイプは早くも17年モデルの受注が開始になった。ヴァレイ・パーキング・サービス利用時にグラブボックスやトランクを施錠することができるヴァレイ・モードが標準装備された。

F-タイプは3ℓV6と5ℓV8という、2種類のスーパーチャージド・エンジンが用意されている。ボディはクーペとコンバーチブルがあるけれど、日本仕様のAWDはV8のクーペのみの設定となる。F-タイプR AWDクーペと呼ばれるこのモデルの価格は14,440,000円。その使命は14,371,000円のポルシェ911カレラ4からいくばくかの客をさらってくることだろう。
カレラ4にはプラス2の後席という実用性があるけれど、最高出力は370psに過ぎない。F-タイプは550psのパワーと美貌が最大の武器だ。

雪上で見るF-タイプのモダン・ビューティぶりときたら、キーラ・ナイトレイかエマ・ワトソンか……。オレンジ色のボディのリアのふくらみがキュートである。

AWDのシステムは電子制御の多板クラッチを用いたオン・デマンド型で、ノーマル時は100%後輪にトルク配分される。スリップを感知すると、ただちに前輪にもトルクを配分する。しかも、パワートレイン、リア・ディファレンシャル、センター・カプリング(多板クラッチ)、それにスタビリティ・コントロールを走行状況によって統合的に制御している。IDD(インテリジェント・ドライブライン・ダイナミクス)と呼ばれるこの統合制御によって、ジャガーの名にふさわしいアジリティ(敏捷性)を確保しつつ、全天候で安定性を得ようとしているのだ。

記事に関わった人々

  • 今尾直樹

    Naoki Imao

    1960年岐阜県生まれ。幼少時、ウチにあったダイハツ・ミゼットのキャビンの真ん中、エンジンの上に跨って乗るのが好きだった。通った小学校の校長室には織田信長の肖像画が飾ってあった。信長はカッコいいと思った。小学5年生の秋の社会見学でトヨタの工場に行って、トヨタ車がいっぱい載っている下敷きをもらってうれしかった。工場のなかはガッチャンガッチャン、騒音と金属の匂いに満ちていて、自動車絶望工場だとは思わなかったけれど、たいへんだなぁ、とは思った。

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