ポルシェ・パナメーラ・スポーツ・ツーリスモ

公開 : 2012.12.08 20:00  更新 : 2017.05.29 19:07

■どんなクルマ?

ポルシェパナメーラ・スポーツ・ツーリスモは、少なくとも公式にはまだコンセプト・モデルである。にもかかわらず、ポルシェは、プロダクション・モデルになる前の、ロードゴーイング・コンセプト・モデルをテストさせてくれたのだ。

パナメーラ・スポーツ・ツーリスモは、すべてにおいて望ましいクルマだ。まずはそのルックスが何よりもハンサムだ。長いボンネット、低くワイドなプロポーション、コンパクトなキャビン、そしてマッシブなヒップラインを持つ。

そのサイズは、全長4950mm、全幅1990mm、全高1401mmで、現行のパナメーラよりも20mm短く、60mm広く、そして19mm低い。そのディメンジョンは、プロダクション・モデルにも引き継がれると思われる。ホイールはフロントが20インチ、リアが21インチだ。その楕円のヘッドランプ、押出しの強いサイド・デザイン、そしてスリムなテールランプは、クルマの幅を強調することに役だっているようだ。ちなみに、ドラミラーは廃止され、エアダクト内に収められたカメラに置き換えられている。

エンジンは、完全なプラグイン・ハイブリッド・システムで、eハイブリッドとネーミングされている。これは既存の94bhpのパワーを持つパナメーラのハイブリッド・システムを更に強化したものだ。エンジンは、328bhpの3.0リッターV6エンジンが組み合わせられる。その燃費は28.6km/l、CO2排出量は82g/kmと驚くほど低く、それでも合計410bhpのパワー・ユニットは0-100km/h加速6秒以下をマークする。

床下の収められた9.4kWhの電池は、現行のパナメーラ・ハイブリッドのニッケル水素電池に代わりリチウム・イオン電池となっている。ポルシェは、モーターだけで最高速度130km/h、そして30kmの航続距離が可能だという。

現行のパナメーラのインテリアも文句のない作りがされているが、その計器やスイッチ類の数が多くドライバーに威圧感を与えるものだったが、新しいパナメーラ・スポーツ・ツーリスモは、タッチスクリーン・システムを使いシンプルなものにされている。本革とアルミで造られたインテリアは、コンセプトカー然としているが、そのレイアウトはステアリング・ホイールを含めてバランスがとれていて美しいものだ。

また、ブートスペースも改良されており、55リッターは改良された500リッターの容量を持つと想像される。

■どんな感じ?

パナメーラ・スポーツ・ツーリスモを走らす前に、プラグからケーブルを抜く必要がある。ちなみに、ポルシェは2時間半で充電できるとコメントしている。しっかりとスターター・ボタンを押しても何も起こらない。本当に静かだ。

そのドライビング・フィールはマナーが良く、そして愉しい。その信頼性の高さは、これがコンセプト・モデルであること忘れてしまうほどで、通常のプロダクション・モデルと同等の評価軸での判断をしてしまいそうになる。

ステアリング・フィールも非常に良い。ストレートではダイレクトで、ハンドルを切るにつれ重たくなるというもの。若干、低速時でのフィードバックと、セルフ・センタリング・トルクが欲しい気がしたが、電気機械式のサポートは総じて良い。

部分的にはフロント265/35、リアが295_35という超ロープロファイル・タイヤのため、低速では落ち着きに欠ける気もしたが、速度が増すにつれクルマは安定してくる。そしてクルージング・スピードに達すれば、ほとんど快適で、全体的な印象は素晴らしく良い。

われわれがテストをしたビバリーヒルズ周辺の道は、アメリカで最も滑らかな道のため、コンベンショナルなスチール製のスプリングのサスペンションであっても、問題はなかった。ブレーキは、オーバーサーボといったフィーリングがしたが、これは生産車の時点で対応が可能と思われる。

とにかく、その大きさにもかかわらず、パナメーラ・スポーツ・ツーリスモは大きさを感じさせない。その浅いサイド・ウインドーや、小さいスリー・クォーター・ウインドー、そして傾斜のきついテールゲートなどを持つが、その高くセットされたドライバーズ・シートのせいもあって、視界も非常に良い。

そして、一端、激しくアクセルを踏めば、ターボ付きの3.0リッターのV6に火が入り、メカニカルなサウンドと、エグゾーストの唸りとともに、パワーが一気に押し出される。そうなると2トンの重さも気にならない、0-100km/h加速6秒以下という速さを披露してくれるのだ。

■「買い」か?

今すぐにこのクルマを手に入れることは不可能だし、このモデルそのものを将来的にポルシェが生産するかどうかも決定はしていない。

しかし、このパナメーラ・スポーツ・ツーリスモは、そのパワー・ユニットがどうあるかは別として、2016年に、リフトバック、エステート、クーペ、そしてコンバーチブルといったボディ・バリエーションで2016年に登場する予定だ。そのライバルは、メルセデスのCLSシューティング・ブレークや、アウディA7BMW 6シリーズ・グランクーペとなろう。

もちろん、価格は高い。ハイブリッド・モデルは、おそらくは70,000ポンド(930万円)以上の価格が付けられることになるだろう。

(グレック・ケーブル)

ポルシェ・パナメーラ・スポーツ・ツーリスモ

価格 NA
最高速度 NA
0-100km/h加速 NA
燃費 28.5km/l
CO2排出量 82g/km
乾燥重量 NA
エンジン V型6気筒3605ccスーパーチャージャー
最高出力 328bhp(エンジン)/94bhp(モーター)
最大トルク 60.1kg-m
ギアボックス 8速オートマティック

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