プリウスPHVの挑戦、既視感からの脱却 ただし問題は山積み

公開 : 2017.02.15 00:00  更新 : 2021.01.28 18:21

バッテリーを拡大しプラグイン仕様となったプリウスは、燃費性能も都市部でのEVとしての性能も向上。しかし、われわれが未来への礎として期待するPHEVのテンプレートからは外れたものだった。

■どんなクルマ?

英国ではプリウス・プラグイン・ハイブリッドとして販売されるこのクルマ、日本ではプリウスPHV、アメリカではプリウス・プライムと名を変えるが、実質的には同じものだ。

その発端は10年ほど前、トヨタのエンジニアたちが次なるハイブリッドカーの飛躍的な進化を思い描いたときにまで遡る。現行プリウスの主査で、先代PHVの開発にも携わった金子將一氏は、その発想を「自分で充電できる電気自動車です」と表現する。

20年前に登場した初代プリウスもまた、シンプルなコンセプトで生みだされたクルマだ。当時は ‘ふつうのクルマと同じようにドライブできるEV’ を目指した。

ここからトヨタは、極めて複雑なパワートレインのパイオニアとして歩みだす。

以降、他メーカーは現在までこれを追いかけてきたが、元祖はその歳月を更なる進化に充て、ここにその精神をピュアさへ昇華させたモデルが誕生した。

そう、世界を変えたハイブリッドカー、プリウスの誕生から20年である。

その名はもはやブランド性さえ感じさせるが、市場にはこれを脅かそうというライバルも乱立している。新たなアイデアが必要だ。それも、発明と呼べるようなレベルのそれが。

そこで登場したPHVバージョンだが、これをまさにその閃きかと問われれば、どうもそう呼ぶには値しないように思えてしまう。

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