フェラーリ初のスーパーカー、ベルリネッタボクサー その実力は

公開 : 2017.04.01 11:31  更新 : 2017.05.29 18:52

デイトナより遅い?

クラッチは重いものの、半クラッチが容易で、トレードマークとなっているオープンゲートのシフトレバーは、デイトナのものよりコツを掴みやすいように感じる。但し、ドッグレッグの2速には若干入りづらい。ボクサーの0-96km/h加速は、Motor誌が1975年10月のスーパーテストの新シリーズで指摘したように、1速が「短い(87km/hで到達してしまう)」せいで、デイトナの0-96km/h加速5.4秒と比べて1秒遅い6.5秒にとどまった。これに対して、カウンタックの5.6秒は5.4秒に迫り、1速のみで到達できる。

最高速度は、やや旧式のボクサーが制したものの、同誌がボクサーの公称トップスピードである302km/hを検証できるようなコースは英国国内に存在しなかった。しかしながら、イタリア政府がベルリネッタボクサーのホモロゲーションを行った際の「公認」の数値は、AUTOCAR誌によるデイトナの数値よりも時速にして5km/hほど遅い275km/hだった。

手前側のミラーは、おそらくは後から追加されたものであろう。

トップ・ギアでの猛烈な加速

BBが優位に立つのは、トップ・ギアでの猛烈な加速であり、Motor誌の表現を借りれば、129km/hから161km/hまで「5.8秒で悠々と」加速するという。これは911ターボさえかなわない数値で、フルブーストにしてさえ半秒遅い。

40年後の現在も、0-96km/h加速、ついでに言えば最高速度も、燃料消費量とほぼ同様問題にはならないだろう。当時であれ、現在であれ、ボクサーを買えるような人であれば、7.6km/ℓの燃費や1対のサドルタンクを145ℓの燃料で満たすコストを気にかけるとは思えないからである。

実はあまりコーナリングは得意ではない

さらに重要な点として、暖機が完了すれば、変速のコツがじきにつかめるということだ。BBは、水平対向12気筒エンジンの回転数が上がれば快適に走り、その当時における最高のエンジンに苦労させられる点はない。レブカウンターが、4000rpmを駆け抜け、完全に滑らかになる7000rpmに向かうにつれ、タービンのような振動音が中毒性のあるうなり声に変化する。シフトダウンしてアクセルを素早く踏み、次のコーナーに向かって急襲する。ただし、コーナリングは、ボクサーが苦手だと評判の分野だ。

リアの225/70×15タイヤを履いた9インチ幅のクロモドラ製合金ホイールに注目。


ボディに軽量の材料を組み合わせているにもかかわらず、BBの車重は1550kgとディーノよりもほぼ半トン重く、その56%が後輪にかかっており、そのことは、ハンドリングを少し意識すればすぐに感じ取ることができる。兄弟車ほど小回りがきかず、比較的やわらかいサスペンションのせいで思っていた以上にロールするが、美しいMOMOのステアリングホイールは、扁平率70の分厚いXWXタイヤがグリップを失う心配などないという安心感をすぐに伝えてくる。

それでも、濡れた路面の場合、問題になる可能性がある。Motor誌は、テールが流れ、ステアリングで素早く修正しなければならない場合があることを発見したものの、それはあくまでも「一般の人々が公道で通常経験するよりもはるかに高速」の場合である。ホイールアーチのせいで左側に寄っているペダルに慣れてしまえば、効きが力強く漸進的なブレーキも安心感がある。

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