ロータスの救世主 初代エリーゼ 「1km走れば恋に落ちる」後編

公開 : 2018.05.06 20:10

1995年9月 エリーゼ発表

現代のゴテゴテしたキャビンを嘆く人にとって、エリーゼのコクピットは極めて優れた解答である。ドライバー志向の室内には、クルマの究極的な目的以外のいかなる夾雑物も存在しない。

カーペットは? ない。電動窓は? ない。ステレオは? ない。カップホルダーは … 余剰を排したことで、ないもののリストが延々と続く一方、不必要な重量を抱え込まずに済んだ。残ったものと言えば、薄いパッドの快適な座席、配置と操作感が完璧な制御系、そして、機械工学に本来備わっている美意識だ。「裸のまま美しく見える設計にしました」と、トムソンは回想している。


エリーゼが1995年9月のフランクフルトモーターショーで発表されると、そのコンセプトは高く評価された。押出成形のシャシー、クルマの耐用期間と同じ耐久性が保証される金属マトリックス複合材料のブレーキディスク。あらゆる技術が来場者を沸かせた。

一部には、ルノー・スポールスパイダーケータハム21などの少量生産車と同様に、商業的には苦労すると考える人もいた。このような疑問に加え、M100系エランを出し抜いたマツダMX-5、マスマーケットの復活、MGF、フィアットバルケッタBMW Z3などの比較的手頃なロードスターの台頭により、ニッチ市場は既にかなり混込み合っていた。それでも、エリーゼの群を抜いた魅力に引き寄せられ、一年後には受注が1300台に達し、初年度予定生産台数の年間400台を、2500台に引き上げる措置が取られた。
 

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