三つ巴スーパースポーツ対決 911ターボとライバルたち 後編 回顧録

公開 : 2018.11.03 11:40

最速はGT-R

ウエットで露呈したあれほど神経質な性格は完全に消滅し、それに代わって前面に出てきたのは、ほぼ完璧に近いボディ制御とターンインでの微動だにしないスタビリティ、そして常識では考えられないコーナー脱出時のトラクションと、強烈極まりないストッピングパワーだった。

しかも今回の中では最も重く出力の低いクルマだったにもかかわらず、驚くべきことにGT-Rは3台の中で最も速く感じられたのだ。そして、わずか0.3秒差ではあるが、実際にも最速であった。なんと、キャッスルコームのラップタイムは1分14.6秒。最初のタイムアタックで、911ターボの勝利は完全に消え去っていたのである。

これはいったいどういうことなのか? GT-Rは新型の、大幅に改良が進んだ911ターボを総合で返り討ちにするほど今でも優れているのであろうか。理論的に完璧なクルマとなるのは、R8にGT-Rのトランスミッションと911ターボのブレーキを移植して、しかも価格は911ではなくGT-Rと拮抗できるクルマ、ということになる。

そして残念ながらそんなクルマは実在しない。しかし現時点でそれに最も近いところに位置するクルマは依然としてGT-Rであるのだ。これがたったの861万円なのだから、今世紀のハイパースポーツのなかでは、今でもバーゲン以外の何物でもないのである。

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