メルセデス-AMG A35 英国試乗 完成度高し 問題はパッシブダンパー

公開 : 2019.01.30 17:10

パッシブダンパーが問題

ESPの介入が弱まるスポーツモードかESP完全オフを選択して、ハードに走らせてやれば、A35はその能力を見せ始めるが、それでもやはりなにか物足りない。

このクルマのシャシーはアクセルで向きを変えるような大胆なドライビングスタイル向きにはできておらず、40.8kg-mの最大トルクを発揮させようにも、電子制御式多板クラッチがタイヤへと伝達されるトルクを制御することで、ウェット路面では多少のオーバーステアを見せてくれるものの、コーナーをドリフト状態で駆け抜けるようなマネは絶対に許さない。

一定のペースで郊外を走り廻るのがA35の真の姿であり、そうした時のこのクルマは非常に素晴らしいモデルだと感じさせてくれる。だが、AMGと聞いて想像するようなダイナミクス性能は、決してこのクルマに期待してはいけないのだ。


さらに、毎日乗るモデルとしても気になる点がある。AMGが幅広いセッティングに対応していると言うアダプティブダンパーはまだ試していないが、今回のテスト車両が装着していたパッシブダンパーは、速度を上げればしっとりとした落ち着きを感じさせるものの(だが、バンプストッパーに接触するとその感触は直ぐに伝わってきた)、わずかな負荷でも常にせわしなく動き続けていた。

低速時の対応と高速でのコントロール性はトレードオフの関係にあるとは言え、M2コンペティションのようなモデルならいざ知らず、素晴らしい速さを誇るハッチバックとしては看過できない点であり、荒れた路面の高速道路ではさらに大きな問題となる。

だが、695ポンド(10万円)を支払ってアダプティブダンパーを手に入れ、18インチホイール(テスト車両が履いていたのは19インチだった)と組み合わせれば、この問題は解消するとともに、優れたシャシーの能力を発揮できる可能性もあるのだから、現時点ではA35の最終評価は保留にしておくべきだろう。

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