IペースとEペースが生まれる場所 マグナ・シュタイアの工場訪問

公開 : 2019.02.16 07:50

寄り道は失敗 グラーツ到着

オーストリアをクルマで旅するには9ユーロ(1121円)で許可証を購入する必要があるが、道路沿いのブースで「9日間用、9ユーロ」と叫んだ相手は、ボンド映画「ロシアより愛をこめて」で演じた敵役のクレッブ大佐がいまも印象深い女優のロッテ・レーニャそっくりだった。彼女がいまも元気でいるか気になったが、カメラマンのリュックにはまったく理解できなかったようだ。それもそうだろう。この映画がヒットしたのは彼が生まれる25年も前だったのだから・・・。

無事オーストリア国境を通過するとザルツブルクはもうすぐであり、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの家は絶好の撮影ポイントだと考えて50kmもの寄り道をしたのだが、実際には、ヴォルフガングと彼の影響ははるか昔に失われ、いまでは酷い渋滞と不愛想な地元ドライバー、さらには忌々しい駐車規制に取って代わられていた。


それでも、なんとか1時間ほどねばり、ふたたびA1号にのって凍結した湖を越えると、美しい山岳地帯を抜け、そのまま直角に右折してA9号線でさらに南東へと進み、見事な山並みのなかグラーツへと近づいて行った。

今夜の宿だが、マグナ・シュタイアの工場横にあり、朝には巨大な朝食を食べながら、新しいパーツについて語り合う多国籍なエンジニアたちで半分ほどが埋まるウォルター・P・クライスラー公園近くのIbisホテルが良いだろう。

ジャガーがプラント・グラーツと呼ぶこの工場は街から数分の場所にあり、同時にメルセデスやBMW、ジャガー向けの車両生産行っていると聞いて想像するとおりのその広大な敷地は、半世紀にもわたって彼らの顧客を丁重かつ慎重に出迎えてきた。

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