どんな感じ？

Sクラスも羨むコーナリングもそのまま

日常的に利用できる範囲でみた場合、ポルシェ911に匹敵するほどの運動性能を備え、2ドアのSクラスに迫る車内空間のゆとりと豪奢さを備えている8シリーズ。受け止め方は様々だと思うが、固定屋根の付いたクーペの魅力だけでなく、オープンエアの心地よさもアピールしてしかるべきだ。

走りの味わいは印象深い。ハンドリングはクーペとはやや異なってはいるものの、しっかりした脚さばきによる安定感は引き継がれている。コーナリングは、Sクラス・クーペが夢に描くような、自信感を抱かせてくれるもの。しかし、意のままにクルマと対話できる、アストン・マーティンDB11ヴォランテとは違う種類の走りでもある。

さらに獰猛ともいえる加速力や反応の鋭さ、そして効率の良さという点で、このツインターボV8エンジンは最上級のユニットでもある。エグゾーストのチューニングも施されているが、M850iのパフォーマンスとステータスを間違いなく保証してくれるエンジンだといえる。

またダイナミクス性能の奥行きも充分にある。アダプティブタンパーにスチールスプリングの組み合わせのMスポーツ・サスペンションは、乗り心地は硬いながらも柔軟。スペインの道路に存在する様々な垂直方向の入力に対する処理は、ストロークが限られていることを考えれば、充分に納得できる仕上がりとなっていた。エアサスペンションなら、更にクルマのイメージを高めることもできたかもしれないが、コースティング時でも、2トンにも及ぶ大きなボディの動きは非常によく調律されている。

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