スポーツカー不人気と草食系男子、意外な関係 性能や価格アップも不振の原因?

公開 : 2019.05.17 18:10  更新 : 2021.10.22 10:18

クルマの価格が上昇 セカンドカーでの所有、困難

スポーツカーには2人乗りも多いから、ファミリーカーとしては使えない。そのためにスポーツカーは、セダンやミニバンを所有するユーザーが、セカンドカーとして購入することが多い。

まさに趣味のツールだが、最近は安全装備の充実や環境性能の向上により、クルマの価格が上昇した。

1990年頃は、初代ロードスターの標準車が170万円で、併用するファーストカーがレガシィツーリングワゴンと仮定して、2.0VZは205万5000円だった。このファースト/セカンドカーの合計価格は約375万円だ。

しかし今は、ロードスターSが255万4200円、レガシィアウトバックは329万4000円だから、合計額は約585万円に達する。

世帯当たりの平均所得は、今も1990年頃と同程度だが、クルマの価格は1.2〜1.5倍になった。そうなるとユーザーは、愛車を乗り替える時に、クルマのサイズを小さくするしかない。そこで「ダウンサイジング」が進んだ。

よくいわれる環境意識の向上も嘘ではないが、小さな車種が売れ筋になった一番の理由は、クルマの価格高騰だ。この状況でスポーツカーを買うのは難しいだろう。

そこでコンパクトで割安なスポーツカーが求められるが、メーカーにとっては難しい。スポーツカーの売れ行きが下がった今、大量な販売を必要とする低価格車の開発にはリスクが伴うからだ。

その結果、スポーツカーが売れず、求めやすい価格の車種も減り、さらに売れ行きが下がる悪循環に陥った。

記事に関わった人々

  • 渡辺陽一郎

    Yoichiro Watanabe

    1961年生まれ。自動車月刊誌の編集長を約10年間務めた後、フリーランスのカーライフ・ジャーナリストに転向した。「読者の皆様にケガをさせない、損をさせないこと」を重視して、ユーザーの立場から、問題提起のある執筆を心掛けている。買い得グレードを見極める執筆も多く、吉野屋などに入った時も、どのセットメニューが割安か、無意識に計算してしまう。

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