今回のRMサザビーズ・オークション結果レポートは、コンクール・デレガンス併催のもの。4.5億円で落札されたフェラーリのほか、ザガート100周年を祝って歴代の代表モデルが集められました。

text：Kazuhide Ueno（上野和秀）

photo：RM Sotheby’s Auctions／Stephan Bauer、Kevin Van Campenhout、Paolo Carlini、Remi Dargegen、Tom Gidden、Tom Hains、Dirk de Jager、Jordan Kwasnycia、Scott Pattenden、Tim Scott、Peter Seabrook、Peter Singhof、Cymon Taylor、Diana Varga、Adam Warner

最高値　フェラーリ500 モンディアル・スパイダー

世界のコンクール・デレガンスのトップレベル君臨するのがヴィッラ・デステ・コンコルソ・デレガンツァだ。イタリアのコモ湖畔にある高級ホテル「ヴィラ・デステ」を舞台に行われ、そのスタートは1929年にまでさかのぼる。単なるコンクールではなくイタリアのカロッツェリアにとっても特別な場所なのである。

このコンクールのオフィシャル・オークションとして毎年隣接するヴィッラ・エルバでRMサザビーズにより開かれている。コンクールにリンクするだけに、その存在が特別なモデルを中心に出品されることで知られている。古今東西の極め付けといえるモデルはRMサザビーズが得意とするところで、今回はフェラーリ500 モンディアル・スパイダー・ピニンファリーナ、ポルシェ550A スパイダー、フィアット 8V クーペ・ザガートなどの極めつけ車両が持ち込まれた。

これらの出品車に加え、今年はザガートの100周年を祝ってザガートの特集も組み込まれた。特集では歴史を創り上げてきたモデルに加え、ザガート社の協力を得て出品車にリンクするアルファ・ロメオSZ、TZやランチア・フラミニア・スーパー・スポルト 3C 2.8 ザガート、フィアット・アバルト 750GTザガート・ダブルバブルなどの三面図ブループリント（青焼き）が用意されていた。

オークションを終えると、いつものRMサザビーズ的な結果に終わった。最高落札額は1954年フェラーリ500 モンディアル・スパイダー・ピニンファリーナの4億5726万円で、そこに1957年ポルシェ550A スパイダーが4億1574万円で続く。このあとは1965年アストン マーティン・ショートシャシー・ヴォランテが2億2202万円、近年評価を高めている1955年フィアット 8V クーペ・ザガートは2億1787万円、1931年ブガッティ・タイプ 50 ロードスターが1億7359万円で続き、ヴィッラ・エルバらしいトップ5となった。

人気を集めたザガート

今回のもうひとつの主役となった歴代のザガート車も好調だった。ただしAUTOCAR JAPANでもオークション前に紹介したフェラーリ330GTCザガートは、ノーマルと変わらぬ最低落札額で設定されていたが、ちょっとあくの強いデザインのためか普通のフェラーリ・コレクターに敬遠されてしまったようで流れてしまった。

特集にちなみオークションとしては珍しいカロッツェリア・ザガートの当時物のブループリントが出品された。ガレージのメボラビリアに好適なこともあり、手頃な値段だったため完売してしまった。

このほかフェラーリ各タイプの車載工具セットや、ディーノ246のオーナーズ・マニュアルも人気を集めた。普通の人が見れば卒倒しそうな高額で落札されているが、これは最近では当たり前の値段で、絶対数が少ないことからここにきて値上がり傾向にある。

RMサザビーズ・ヴィッラ・エルバ・セール　結果一覧

価格は落札手数を含む額。日本円への換算は、オークション開催当日の為替レートを基に計算。
NS=落札不成立。日本円価格の括弧内の金額は、主催者が発表した予想落札価格。