ロードテスト ジャガーFペースSVR ★★★★★★★★★☆

公開 : 2019.08.03 11:50  更新 : 2019.08.09 16:51

快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆

ジャガーは、ひとびとがなぜSUVを買い求めるのか、その理由を忘れてはいない。そしてワイルドなイメージにもかかわらず、FペースSVRのロードマナーは立派なもの、いや、それ以上だ。それも、猛烈なパフォーマンスカーの割には、という話ではない。ビルシュタインのダンパーをコンフォートモードにすると、ハードなスプリングと22インチホイールを備えるにもかかわらず、高速道路をゆったり、落ち着きと安定をもって走る。たくましい不屈さに支えられた走りだが、このシャシーが最新スーパーカー並みのパワートレインに見合ったものであると思い出すのは、路面の波打ちが最悪な場合くらいだ。

SVRのエキゾーストノートは、退屈な響きではないが、4本出しテールパイプが期待させるほどでもない。確かに、8気筒サウンドを聞き逃すことは絶対にないが、期待通りのそれでもない。対して、タイヤノイズはきわめて小さく、113km/h巡航での室内騒音は67dBを計測。この数値はよりエキセントリックなステルヴィオ・クアドリフォリオと、みごとな洗練ぶりをみせるBMW X5 30dとの間に位置する。レッドラインの6500rpmでは、アルファよりも騒々しいが、よりドラマティックで豊かな響きを聞かせる。快適さとカリスマ性のバランスが絶妙だ。

必然的に、トレードオフはある。それに気づくのは、50km/h以下の速度域や、市街地の中心部を走った際だ。低速域での乗り心地はひどいものではないが、オプションの巨大な22インチホイールを履くと、通常のFペースなら高さのあるサイドウォールと柔らかいサスペンションがいなすようなマンホールや路面の穴などでも苦戦する。

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